【インタビュー】SF時代活劇『虹色とうがらし』主演・七味役：長江崚行さん&ヒロイン・菜種役：伊波杏樹さん

1990年~1992年に週刊少年サンデーにて連載された、あだち充原作の『虹色とうがらし』の舞台版が、いよいよ明日8月28日(土)より東京・あうるすぽっとにて開幕を迎えます。

原作は、国民的漫画「タッチ」をはじめ、「MIX」(ゲッサン連載中)「H2」「ラフ」など、スポーツ恋愛コメディを主流として数々の名作を今なお現役で送り出す漫画界のレジェンド・あだち充が描く『虹色とうがらし』。
“時代考証口出し無用”を掲げたSF時代劇という独特な世界観で描かれた異色作となっており、連載から30年経った今でもファンの間で根強い人気を誇っています。

舞台版では、時代劇らしい殺陣を駆使した迫力満点のアクションに、あだち充感満載のラブコメ要素、暗躍する敵や不思議な兄弟関係などミステリアスな側面も交えたストーリーを展開。観客をコミカルかつ繊細な人間模様を描く“あだち充ワールド”へといざないます。

この度、本作で主演・七味役を務める長江崚行さんと、ヒロイン・菜種役を務める伊波杏樹さんにインタビューを実施。
作品への思いや役作りについて、そして稽古場でのエピソードなど、本舞台への意気込みをお届けします！
※以下敬称略

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七味役：長江崚行さん&菜種役：伊波杏樹さんインタビュー

出演が決まった時のお気持ちお聞かせください

長江：素直にとても嬉しかったです。あだち先生の作品は昔から読んでいて、まさか自分があだち先生の作品の主人公に選ばれるとは思いませんでした。今回、役者としてご褒美を頂けたと感じています。また、これまでにメディアミックスされていない作品なので、本作がメディアミックスとしての第一印象になるといった面では、プレッシャーも感じています。

伊波：私もあだち先生の作品への出演のお話を頂いた時、とても嬉しかったです。そんな機会が来るとは思っていなかったので凄く驚きました。菜種の人生を過ごす、生きるという事を心した上で、絶対楽しい作品になる！といったワクワクした気持ちでいっぱいでした。

原作を読んでみていかがでしたか？

長江：子供の頃に読んでいました。あだち先生の作品は“学生”“青春”といったイメージがあったのですが、「虹色とうがらし」はこれまでとは違った作風が印象的でした。あとは、アクションものは男の子が大好きなジャンルなので、凄く楽しそうだなと思いながら読んでいました。

そして本作に出演が決まり、大人になってから読み返した時に「この作品はあだち先生がやりたい事を詰め込んだ作品なんだ」と、また違った印象を受けました。大人になったからこそ、あだち先生のラブコメ要素が見えてきて、言葉の含みなどからエモさを感じましたね。

伊波：私は出演が決まってから読ませていただきました。あだち先生の作品はスポーツ、青春というイメージが強かったので「こういった世界も描かれているんだ！」と、驚きました。言葉だけではなく表情もとても魅力的に描かれていて、ページをめくる手が止まらなくなるような丁寧で素敵な作品だと感じました。

ご自身が演じる役の、印象・魅力を聞かせください

長江：それこそ、あだち先生らしい主人公なところです。思春期で素直じゃないけど、周囲の人を思いやることが出来て、行動にもしっかり移せる。
僕は女の子の気持ちはよく分かりませんが、こういった男の子はモテるんだろうなと思いました(笑)
そんな七味を、舞台でどう体現していくべきなのか、凄く悩みながら稽古をしています。
舞台上の七味が自然に醸し出す雰囲気、人との接し方、気遣いの仕方で「あぁ、モテそうだなこの子」と、少しでも感じていただけるようにしたいです。

長江さんが演じる“七味”と、ご自身が似ていると感じた所はありますか？

長江：僕自身、弟が2人居るんです。七味は兄弟思いで、何かあった時に手助けしてあげたいといった気持ちが凄く共感できます。演じる上でも、とてもやりやすい所だと思いますね。伊波さんはどうですか？

伊波：今の話を聞いて、長江くんの作る七味のルーツはそこだったのかと、知ることが出来て楽しいです。
稽古でも陳皮役の風太くんとのやり取りを見ていると、兄弟感が凄く伝わって来るんです。七味自身も普段からこんな話をしているんだろうなぁ～と感じられて。

私が演じる菜種は、唯一の女の子で長女ということもあり、いろんな立ち回り方を彼女なりに考えながら生活しているんだろうなと感じています。居心地が良く、家族として、楽しくなっていく菜種の幼少期～現在までを考えると私も幸せな気持ちになります。
その中に七味が入ってきたことにより、空気が変わってどんどん物語が展開される。そのことによって菜種がちょっと振り回されている所が、彼女の可愛らしさでもあると思いますし、それと同時に新しい喜びになっていると感じています。
また、菜種が七味だけに見せる仕草や行動も沢山あったんだろうなと、稽古をしながら感じることが増えてきて、長江くんとすり合わせをしながら作品を作り上げていけて、ありがたい時間だなと思います。

伊波さんは、ご自身が演じる“菜種”に共感できる所はありますか？

伊波：女の子にあるどこか素直じゃない所ってみんなあるような気がして。
10代、20代、30代と、女性の変化は早くて大きいものだと思っていて、20代の私から見る10代の菜種は素直になりきれない絶妙な時期だと感じていますし、共感できる所ですね。
本作はラブコメ要素もありますが、兄弟の中で育ってきた菜種はそういう感情に疎いんですよね。だからこそ、七味がそこに加わったことが、菜種にとって人生の中で大きな出来事になったと思います。

長江：伊波さんは、兄弟いるの？

伊波：私は一人っ子だから兄弟いないの。だから、余計にそういう違いもあるんじゃないかなと感じていて、もし長江くんにお姉さんがいたらまた違ってたよね。

長江：うん、もっと良い男になってたと思う(笑)

伊波：どういうこと！？(笑)

長江：家族の中に女性がいると、そこで女性慣れしているから、お姉ちゃんや妹がいる同級生は一歩近いところで女性と会話が出来てるんですよ。なので僕にお姉ちゃんがいたら、もう少し上手に女性とコミュニケーションが取れていたんじゃないかな。憧れますね。

伊波：私も一人っ子だから、兄弟に囲まれて過ごす菜種を見て「兄弟って良いな」と思いました。20代前半の頃は、一人っ子で良かったなと思うことも多かったですが、大人になるにつれ兄弟いて欲しかったなぁと感じることが多くなりましたね。なので今、菜種に凄く良い経験をさせてもらっています。

長江：伊波さんは、お兄ちゃんか弟ならどちらが欲しかった？

伊波：お兄ちゃんに憧れあった！！10代の時に、従兄弟のお兄ちゃんって格好いいとすごく魅力的にうつっていましたね。菜種が麻兄ちゃんのことを好きな気持ちと似ていて、菜種の気持ちがとても良く分かります！
他にも、学校に好きな人がいる、ちょっと気になる子がいる、そういった絶妙な心情や距離感が、あだち先生の素晴らしさのひとつだなと。本当にすごいです。

長江：あだち先生って、一体どういう人生を歩んで来たんですかね。

伊波：次々といろいろな部分を、知りたくなるよね！男女共に、皆が絶対1回は「その気持ち分かる！」と思うような青春を物語に詰め込んでいるのが魅力ですよね。あの時の、あの一瞬！みたいなものを思い出すようで。
こうした部分も、舞台でも描かれるので共感しながら観ていただけたらより楽しめると思います。