【レポート】音楽劇『ダニー・ボーイズ』~いつも笑顔で歌を~
この時代は、まだ偏見が根強く残っており、また日系人故の悩み等そういったエピソードもはさみ込みつつ、進行する。日本から来た幸男たち、アメリカで生まれ育った日系人ら、歌、舞台、ミュージカルで絆を深める。この物語の主人公である伊藤幸男演じるは真田佑馬、歌さえ歌っていればOK!なキャラクターを真っすぐに演じる。その友人で共に『極東組曲』の舞台に立つ水田航生演じる田上英喜、「ダニー・ボーイズ」結成に向かってエネルギッシュに目標に向かって突き進むが幸男を超えられないコンプレックスを抱く。柄本時生演じるミッキー・岡田の飄々とした雰囲気は物語のアクセント、語り部的なポジションを担っているのもうなづける。悠未ひろ、AKANE LIV、剣 幸の“宝塚トリオ”のしっかりとした歌唱、脇を固めるベテラン俳優陣が若手を支える。史実でも主人公は飛行機事故で亡くなる。原作にも描かれているが、管制塔のクロリスとの、ちょっと洒落者的なウィットに富んだ会話、「ただ、いつもと違ってたのは無線を切り忘れたことさ」「管制室はぼくのリサイタル会場に早変わりだよ」最後までかっこよく、そして散っていく。ハッピーエンドではないが、どこか清々しい一陣の風が吹き抜けるような明るさ、やりたいことをやって生き抜いた主人公と周囲の人々の生き様、群像劇的要素もあり、見応えあり。ちょっと洒落た演出もあり、産婆夫婦と往年のスター女優とその夫はベンガル&剣 幸、これがなかなか息のあったやり取り、梅垣義明の役名はダニー・小杉(濃過ぎ!もちろん化粧濃いオカマ!)、ここは客席から笑いが起こった。
実在の人物をモデルにした原作もフィクションであるが、そこからさらに“フィクション”を“追加”した内容。公演数が少ないのが唯一、残念なところ、再演して欲しい作品だ。
【出演】
真田佑馬、水田航生、柄本時生、悠未ひろ、AKANE LIV、戸井勝海、 金 すんら、ベンガル、剣 幸 他。
【公演データ】
音楽劇「ダニー・ボーイズ」~いつも笑顔で歌を~
原作: 島田虎之介「ダニー・ボーイ」より
脚本: 石丸さち子
演出: 元生茂樹
2016 年 10 月 26 日(水)~ 10 月 29 日(土)
東京国際フォ ーラム ホールC1
2017年1月5日(土)~6日(日)
新歌舞伎座
オフィシャル HP http://www.danny-boys.com/
Twitter https://twitter.com/dannyboys_tweet
主催: 「ダニー・ボーイズ」公演実行委員会
制作: エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ、プロデュース NOTE
企画協力: 青林工藝舎
■音楽劇「ダニー・ボーイズ」過去リリース情報
・https://stagenews25.jp/?p=6042
・https://stagenews25.jp/?p=6745
・https://stagenews25.jp/?p=7768
・https://stagenews25.jp/?tag=ダニー・ボーイズ
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