【イケメンコレクション】第9回 俳優・鈴木勝吾さんインタビュー
演劇は、日常の葛藤や不満から生まれる
鈴木さんが主演を務めたミュージカル『憂国のモリアーティ』(2019年5月上演)はマジョリティに反抗する姿が描かれていました。「マジョリティに対しての反抗」は、演劇にも通じている気がします。
鈴木:そうですね。西田シャトナーさんがよく「演劇は神への祈りに近いものがある」と仰るのですが、演劇は現実や社会に対してのアンチテーゼだと思うんです。
演劇は、日常の葛藤や不満のなかで芽生える言いたいことや意思から生まれる。「現実はこうだけれど、僕たちはこう生きていくんだ」と伝えられるのは、役者という仕事の魅力だなと。
他にも印象に残っている演出家の方からの言葉があれば教えてください。
鈴木:西田大輔さんからいただいた「価値観は学べる」です。現実で目の前に人や世界があっても、どう捉えるかは自分の価値観次第。なので、いろんな価値観を知った上で「こういう価値観なんだ。でも僕はこう考えたい」「その価値観素敵だなあ、取り入れよう」と自分の価値観を強固にしていこう、と感じるようになりました。
「受け入れる・受け入れない」を判断する前に、一度受け止める」ということでしょうか。
鈴木:そうです。否定しないで、一度聞いてみる。さまざまな価値観を学んで、コミュニケーションから逃げない。そういう積み重ねで世界が変わるので、価値観を学ぶことは大切だと思います。……とは言っても、最近やっとできてきたんですけどね。
若いときは価値観を学ぼうとせず、世界や相手に「自分はこう思う」とぶつけていたけれど、今は一度聞いてみて「そうだとするならば、僕はこういう考えなんですけど……」という提示の仕方ができるようになりました。
価値観を学びながらコミュニケーションから逃げない。……これって、かなり難しいことだと思います。
鈴木:誤解しかない世の中ですし、相手のことがわかりきれないなかで、どれだけ相手を知りたいと思って、どれだけ自分を知りたいと思わせられるか……。
これもひとつの価値観なのですが「相手が何を考えているのか捉えて、それにどのような言葉を返すのか」がコミュニケーションだと思うんです。口に出した言葉は戻らないからこそ、それに責任が取れるかどうかを考えて話す。これは常に考えています。
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