浦沢直樹

【インタビュー】『浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる -大阪の巻-』浦沢直樹スペシャルインタビュー

浦沢直樹展

今回の『描いて描いて描きまくる』も『漫勉』も、
新しい漫画の楽しみ方を知ってもらうための経験。

――今回の展示とは直接関係ないんですがNHKの『漫勉』を毎回楽しみに拝見しています。
私が見て衝撃的だったのは、藤田和日郎さんの回なんです。凄いですよね。ホワイトが筆記具、ホワイトをペンのように使って、原稿が厚塗りになるっていう。

浦沢:それこそ2.5次元ですよね(笑)。

――原稿料がグラム単位なら、すごく高くなってしまいそうでしたよね。他にも端整な絵を描かれる萩尾望都先生ですとか、それぞれの先生がそれぞれの表現で原稿を描き上げていく。そしてそれが全て漫画という世界に収まっているというすばらしさも感じます。番組を作る中でそれぞれの先生の取り組み方を見て、浦沢先生は「漫画ってこういうことかな?」っていった気付きのようなものはありますか?

浦沢:僕らの時代は、たとえば手塚先生の印刷物を見たときに、ちょっと手が震えてらっしゃるなとか、ちょっとつかれてらっしゃるなとか、今週号はすごく乗ってるなとか、そういうようなものを印刷物から推測してワクワクしていたというのがありました。ただ、そういう目線みたいなものは、もしかしたらぼくらは描いているから、描き手だったからわかったことかもしれないってことを思ったんですよ。でも、それを一般の読者の方に伝えるのはなかなか難しいですよね。
もしかしたらああいう『漫勉』みたいな映像、それから今回みたいな展示もそうですけど、そういうものを体感することで、“漫画がどうやって描かれているのか”ということを体感してもらえば、そういう風な描き手の見方もできるようになるんじゃないか、新しい見方になって、新しい漫画に対する楽しみ方ができるんじゃないかなって思いますね。

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