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スカーレット・ピンパーネル

【3.0レポート】ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』

スカーレット・ピンパーネル1幕の出だし、フランスに革命の嵐が吹き荒れる様子をシルエットで視覚的に見せる。革命という言葉は聞こえはいいが、要するに内乱、ここはスピーディにみせる。それから劇中劇、マルグリット最後の舞台、しかし、ショーヴランがコメディフランセーズの閉鎖を言い渡す。
舞台展開が早く、しかもわかりやすい。マルグリットとショーヴランの関係、パーシーとの結婚、ミュージカルナンバーも次々と滑らかに、耳に残るメロディ、流石、ブロードウェイの巨匠といった楽曲がこれでもか、と続く。また図書館から船出のシーンにつながるところは1幕の見せ場、ピンパーネル団の誕生だ。
ショーヴランは真面目で堅物な人物、“上司”に忠実で革命を信じている。いわゆる敵役であるが、彼には確固たる信念がある。対するパーシーはフランスで起こっている革命と恐怖政治をよしとしない。無実の罪に問われた人々を救うために戦うのだが、その戦い方が柔軟で、色々と策を練る。元恋人のショーヴランに脅され、パーシーとの愛を疑うマルグリット、この3人の立ち位置がこの物語の要である。
パーシー演じる石丸幹二はもはや貫禄すら漂う。力強い歌、そして時には軽やかさを見せ、観客の笑いを誘う。安蘭けいは強い意志を持ち、そして弟想いの優しい姉というマルグリットを的確に演じる。ラスト近くはマルグリットまさかの?!“反撃”、ここは笑いポイント。堅物・ショーヴラン、石井一孝が愚直で意志が強いキャラクターを演じ切る。またショーヴランは上司・ロベスピエールに忠実だが、その忠誠ぶりはコミカルな空気感もあり、「いる、いる、真面目過ぎでしかも上司に逆らえないタイプ」と頷けること必至。
伏線も効果的で、あっと驚く、そしてクスリと笑えるラストに向かってはりめぐらされている。キャラクター全てに見せ場がある。ピンパーネル団のメンバー、特に変装シーン等は抱腹絶倒、彼らの活躍、ラストまでしっかりとパーシーを支えてアッパレだ。
革命を扱う、と聞くと重厚なイメージを連想するが、これは軽やかでユーモアもたっぷり。また日本人観客に合わせたと思われる“小ネタ”があり、ここはわかっていると面白さが倍増する。
正義のために情熱と信念を持って戦う、楽曲も演技も物語もしっかり楽しめる2幕もの、なお楽曲は全部で26曲、ミュージカル好きにはたまらない作品だ。

スカーレット・ピンパーネル

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