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BLOOD RELATIONS

【3.0レポート】The Other Life Vol.9『BLOOD RELATIONS ~血のつながり~』

BLOOD RELATIONS

実際に起きた事件が題材なので、時代は異なってもリアリティが感じられる。今の時代は一見、自由であるが、やはり社会や気候風土に根ざした慣習は時として人を苦しめる。さらにリッヅィーと女優との関係性、またこの劇団の最大の特徴である男性が女性役も全て演じるという形、こういった要素が幾重にも重なって演劇的な空間を創り上げ、テーマがクローズアップされるのである。そして最後の台詞に全てが集約されている。

この物語は“犯人探し”ではない。時代を超えた根源的、かつ誰しもが大なり小なり抱えている“負”の側面、それによってアイデンティティが引き裂かれるということ。優れた戯曲は、どんな時でも心に響く。

主人公リッヅィーを演じる青木隆敏、女優役の松本慎也、コンビネーションも良く、見応えのあるやり取りで観客を惹き付ける。脇を固める俳優陣、山本芳樹は弁護士役とドクター・パトリックの2役をメリハリのある演技で場面を引き締める。その他の役もベテランを配し、しっかりとした芝居をみせる。ウエルメイドでこじんまりとした劇場、良質の舞台であった。

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