【3.0レポート】上海歌舞団 舞劇「朱鷺」-toki-
日中国交正常化45周年記念
上海歌舞団 舞劇「朱鷺」-toki-
2015年に全国30会場12万人を動員した感動の名作、上海歌舞団による舞劇「朱鷺」。 今夏、日中国交正常化45周年記念公演として東京、名古屋、大阪で再演されることになった。しかも2018年にはニューヨークのリンカーンセンターでの公演も決定し、その後はモスクワでの上演も控えている。
そのレベルの高い技術と芸術性は世界的にも高評価、待望の初日の幕が開いた。物語は地上に舞い降りた朱鷺の精・ジエと青年・ジュンとの1000年の時を越えて綴る愛の物語だ。
幕開きは厳かな曲で始まる。1人の男がいる。彼の向こうで朱鷺が羽ばたく、白い羽根がひらりと男の手元に舞い降りる。それを手にする男、1000年の物語の始まりだ。自然が豊かだった頃、人々は農作業にいそしみ、朱鷺たちも生き生きとしていた。平和そのものの情景をたおやかな群舞で魅せる。農作業もリズミカルで自然を慈しむ優しさにあふれた振付、朱鷺たちも楽しそうだ。男の名はジュン、陽気な気の良い青年、彼は一羽の艶やかな朱鷺の精・ジエと出会い、お互いに惹かれ合うようになる。このデュエットが軽やかかつたおやかな印象、“朱鷺ダンサー”たちの動きは本当に朱鷺がそこにいるようなイメージだ。バレエの動きに加え、中国の舞踊の動き、それに写実性を加味した独特のパフォーマンス、またフォーメーションも一糸乱れないのは無論のこと、流れるような流麗さ、そして気品に溢れた空気感、凛としていながらも、張りつめたような緊張感はなく、あくまでもふんわりと、どこまでも優しく愛に満ちあふれている。舞台背景が水墨画を彷彿とさせ、神秘的で奥行きを感じさえてくれる。幸せな2人の時間はやがて終わりを告げ、ジエはジュンを置いてどこかへ旅だってしまうのである。
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