【レポート】舞台『東京喰種トーキョーグール』〜或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録〜
「あんていく」の場面、カネキは派手にカップを落として割ってしまう。不器用なカネキ、トーカは(田畑亜弥)冷ややかな感じで見るが、その瞳の奥底はちょっと温かい。そこへ派手に登場する赤いジャケットの男、これが今回のストーリーの要となる美食家の喰種・月山習(佐々木喜英)、歌い、踊る月山は新鮮だが、キャラクターの性格がよくわかる見せ方、トーカは「めんどくさい奴が来た」と煙たがる。
テンポよく物語は進む。喰種の特殊能力は初演に引き続き映像表現、映像を使ったからと言って映画的にはならない。むしろ演劇的表現を後押しする形となっている。「喰種レストラン」の場面は圧巻で華やかだが、その賑やかさが、後に繰り広げられる凄惨な状況と対比の関係になり、そのコントラストが喰種の“生態”を際立たせる。人間を生きたまま“捌く”シーンはかなり衝撃的、それをヤンヤの喝采で盛り上げる喰種たち、それが彼らの“常識”なのだ。イケメンで華やかな雰囲気の月山の存在も不気味に写る。
そして今回の舞台のもうひとつの“ストーリー、”普通の人間のふりをして大学に通うニシキ(鈴木勝吾)と彼の恋人で人間の貴未(山谷花純)。貴未は自分の恋人が喰種であることを知っていても愛を捧げる。
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