【レポート】『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味』
『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味』
昨年、舞台化発表から話題騒然の『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』、チケットは即日完売し、劇場を笑いの渦に巻き込んだが、今回は博品館劇場から渋谷のAiiA 2.5 Theater Tokyoに移り、倍の広さになって否応なしに”デラックス”になって帰ってくる。脚本・演出はなるせゆうせい、自身が大のファンであり、作品に惚れ込んで出版社に”直訴”したというから、その心意気、MAXである。
ゲネプロ前に演出のなるせゆうせいから挨拶があった。「役者はナイーブなので面白いところは笑ってください」とコメント、それから始まったのだが、今回は”前説”がある。とても”前説”とは思えない内容の濃さでしょっぱなから観客を笑わせる。”前説のカリスマ”(?!)も登場するが、さらに松尾芭蕉と河合曾良も加わり、なんとも賑やか。芭蕉は「携帯を切るかどうかは任せます」と一句(もちろん、携帯は切ってくださいね)。こんな前説、もう早く着席しないともったいない状態、しょっぱなから『ギャグマンガ日和』の世界に入る。それから、『どんぐりころころ』等の曲が流れ(脳内無限ループ状態で耳に残る!)、ようやく本編となる。もう、豪華、”デラックス前菜”だ。
ストーリーは初演と同じであるが、ファンならよく知っているギャグ、名シーン、名台詞の連続。うさみちゃん(真凛)とくま吉(ボン溝黒)の掛け合い、”名探偵うさみちゃん”、そして”スクール水着”も健在だ。”デラックス風味”と銘打っているだけあって、些細なギャグも「そこまでするのか!」的なパワーアップ、初演からのキャストも今回初参加のキャストも皆、ゲネプロから皆、エネルギッシュに、キャラクターも設定も、全てが抱腹絶倒、大真面目に全力でバカをやるには相当なエネルギーが必要だ。舞台では新キャラクターの松尾芭蕉(阿部丈二)と河合曾良(小笠原 健)だが、このコンビが絶妙でテンション高く、落ち着きのない松尾芭蕉に対してどSで無愛想な河合曾良、キャスティングの勝利、といった感があり、次回は是非、メインでお願いしたいところだ。この2人、何故か聖徳太子(西山丈也)と小野妹子(長江峻行)に遭遇するが、ここは”大人の事情”(笑)。聖徳太子と小野妹子のコンビ、お約束の遣隋使のシーン、タコタコ星人の煬帝(岡田地平)、もちろん塩で絶命するのは”お決まり”。長江峻行、現役高校生だが、ミュージカル『ヘタリア』に引き続きコメディ出演で、”大人”相手に遜色なく健闘、将来性を感じる。西山丈也もこういったコメディはお手のもので出てきただけでとにかく可笑しい。また、普通田父之介(宮下雄也)[原作モデル・ヨガ教室のお父さん(大野大)]の身体のキレ(タックジャンプの高さが凄い!)とヨガポーズの綺麗さ、これがキャラクターをさらに面白くしてくれるし、アマンダ (磯貝龍虎)も存在感たっぷりで暴れまくる。ラブ江(小野由香)、ラーメンの精(酒井 蘭)、式神ニャンコ(市川刺身)等、もう皆、面白可笑しい。
物語は普通田ふつお(鎌苅健太)[原作モデルは平田平男]を中心に進んでいくのだが、極めて”いい奴”、でも不幸が連鎖、笑いの連続だが、ちょっと心に何かが残る。ただひたすらに面白いだけじゃない、コントではなく”演劇”なのだ、と思わせてくれる。この作品はとにかくネタが多く、いろんなバージョンが期待出来る。シリーズ化しても不思議じゃないコンテンツだ。
なおゲネプロ前に会見があった。初参加のテンテン役の根岸愛(PASSPO☆)は「誰もが知っている作品で、”コメディやってみたいな”と思っていたところにオファーを頂いたので、プレッシャーもありますが、(参加出来て)嬉しく思います。台本を見て場面展開が凄いです」とコメント。西山丈也は「長江君、17歳、未成年なんですね……」と長江崚行の方を見つつコメントし、初参加の長江崚行は「(原作を、世界観を)いかに崩さずにやれるか」とちょっと緊張気味。初演がチケット即日完売だっただけに、ここは新キャストは”プレッシャーどころ”かも?普通田ふつ子役の増井みお(PASSPO☆)は「こんなに笑うことがないくらいに面白い芝居です。濃い人が多いので負けずに頑張ります!」と意気込む。鎌苅健太は「色々と絡まっていく感じが面白い」と作品を評した。根岸は「稽古場でも毎回違うので、2回以上観に来てくれたら嬉しい!」とPR。西山は「確実にパワーアップ」と言い、鎌苅は「いい意味で裏切れるようにしたい!」と抱負を語った。
なお、この作品はニコニコ生放送で配信されることが決定している。
[出演] 鎌苅健太、根岸愛(PASSPO☆)、西山丈也、長江崚行、宮下雄也、増井みお(PASSPO☆)、真凛、磯貝龍虎、ボン溝黒、岡田地平、小野由香、酒井蘭、飯山裕太 他
[公演データ]
『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味』
2016年4月6日(水)~4月10日(日)
AiiA 2.5 Theater Tokyo
©増田こうすけ/集英社
©「舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味」製作委員会
取材・文・撮影/高浩美
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。