魔女の宅急便

【レポート】ミュージカル『魔女の宅急便』

 
魔女の宅急便

仕事に喜びを見いだすキキではあるが、楽しいことばかりではない。落ち込んだりもするが、皆に励まされて少しずつ様々なことに気づいて成長する。それはトンボや周囲の大人たちとて同じだ。会ったこともない魔女、最初はちょっとした騒ぎになるが、空を飛べる以外は年相応の女の子なのに人々は興味と奇異の目でキキを見る。それは差別ともいえるかもしれないが、次第に理解を示していく。大人たちとて気付きがあり、常に成長している、ということだ。ラストはちょっとほのぼの、アニメとも原作とも異なる舞台だけのオリジナルだが、しっかりと“魔女宅”、キャスト、スタッフの原作愛にあふれたミュージカル。構成的には映像やプロジェクション・マッピングを上手く使い、スピーディーに物語を展開させる。キキが空を飛ぶシーンも実際にはフライングしていなくても飛んでるようにみせる部分もあり、しかも装置を装着する時間を必要としないので、テンポよく進めることが出来、演出的に工夫を凝らしているところだ。背景もセットばかりではなく、映像で見せるところもあり、また星がキラキラ〜なシーンもあってファンタスティック。まさに舞台ならではの“魔法”だ。ソング&ダンスのシーンと芝居のシーンのメリハリも効いていて観やすい。ところどころに回想シーンも挟み込んでよりキキの生い立ちもわかりやすく提示する。また町長始め、俗っぽい“訳知り顔”の大人たちの存在はキキやトンボの純粋さを際立たせる。
原作と同じく主人公の成長物語ではあるが、恋の予感がちらつくところはちょっと心温まる。何度か登場する台詞「誰の中にも魔法がある」、人を元気にする魔法、勇気を与えてくれる魔法、この作品にはたくさんの“魔法”が溢れている。まだ大阪公演が控えているので、大阪の“魔女宅”ファンは必見!

魔女の宅急便

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。