ライブミュージカル『プリパラ』 み~んなにとどけ! プリズム☆ボイス
『プリパラ』はタカラトミーアーツとシンソフィアが共同開発したトレーディングカードアートゲームだが、多角的に展開しており、テレビアニメ化は2014年7月5日、その後、劇場版も公開されたが、今回のミュージカル化は初めてとなる。キャストはゲーム・アニメと同じ声優が務めるが、アニメと同役で舞台に立ったのは、古いところではミュージカル『赤ずきんチャチャ』で舞台でもアニメと同役で声優の桜井智がマリン役を演じた。また、有名なところでは『サクラ大戦』が挙げられるが、こちらはほとんどのキャラクターを声優が演じ、話題を呼んだ。近年でも、声優の松風雅也がアニメ・ゲームと同役の葉隠康比呂役で舞台『ダンガンロンパ THE STAGE~希望の学園と絶望の高校生』出演したが、これだけの声優が同役で舞台版を務めるのは久々かもしれない。演出はオペラ『金閣寺』や歌劇『ブラックジャック』を手掛けた田尾下哲がその手腕を発揮する。
オープニングからキャラクターが賑やかに登場し、早々のショータイム、観客は早くもテンションが上がる”仕組み”だ。
それから物語が動き出す。ライブに遅刻しそうになり、『PrisumStone』へ急ぐらぁら。到着するもいつもの『パラ宿店』はお休みであった。青井めが姉ぇと青井めが兄ぃ(どちらも舞台のオリジナルキャラクター)に案内されてロッポンギ店からプリズムツアーで1時間前に遡ることになったが、到着したのは、なんと1年前のまだプリパラが禁止されていた過去だった。現代に戻るためにらぁらはこれまでの大事な場面をひとつひとつ再現していくことに……。
舞台中央後ろには大きなスクリーンがあり、キャラクターに扮した声優陣が前で踊り歌うがスクリーンはその動きとシンクロするアニメ映像が映る。舞台なので、表現はあくまでもアナログだ。布を使ったり、あるいは紐、風船やシャボン玉、アンサンブルのダンス等で様々な場面を見せるが、ここはオペラやミュージカルの演出に長けている田尾下ならでは。ファンならよく知ってる決め台詞『かしこま!』等も飛び出し、全体としてはオーソドックスで、作品世界を上手く舞台に乗せた格好だ。アニメのライブシーンもスクリーンに映し出されるが、ここでは観客に配られたライト(腕に装着する・Ripple Light Products)がスイッチを押さなくても光りだす。つまり、観客そのものも舞台を盛り上げる”舞台装置”となり、客席全体が『プリパラ』の世界になるという”仕組み”だ。ここは、もう楽しまなきゃ損、な場面、腕を振るなり(お隣りの邪魔にならない程度に)拍手するなりしてみるのも一興だ。『Make it!』や『Pretty Prism Paradise!』『Reallze!』『O-week-old』等のライブシーン満載、しかもオリジナルストーリーなので、『マンマ・ミーア!』に代表されるジュークボックスミュージカル形式となる。しかも通常は楽曲だけをストーリーに上手く”はめ込む”のだが、これは映像までも無理なくストーリーにはめ込んでいるので、より”高度”な形式と言えよう。物語のテーマは”友情”、”絆”といった永遠のテーマ、ラストはちょっと泣ける展開となり、2幕ものでしっかりした構成、子供から大人まで鑑賞出来る良質のミュージカルとなっている。
各キャラクターを演じているi☆Ris(アイリス)は流石にチームワーク良く、楽しくキャラクターを演じきっていたのが印象的だ。声優として演じ続けているものの、生身の本人達がキャラクターと同じ衣装をつけての”演劇”は初めての経験だそうだが、弾けた印象で頼もしい限り。会見では真中らぁら役の茜屋 日海夏が「どうなるんだろうと心配したけどらぁらちゃんになれてよかった」と語り、また北条そふぃ役の久保田未夢も「(キャラクターと)一心同体になれた」とコメントした。ここでもチームワークの良さを発揮し、和気あいあいな雰囲気で記者の質問に答えていた。青井めが姉ぇを演じていた高柳明音(SKE48)は「踊りたかった!」そうで舞台の袖で踊ったりMIX(アイドルファンが行う踊りやかけ声)を打ってたそう。さらにi☆Risのファンであることを公言、すっかりi☆Risメンバーとも打ち解けている様子であった。
(C)T-ARTS/syn Sophia/テレビ東京/PP2製作委員会
撮影/洲脇理恵
取材・文/高 浩美
ライブミュージカル『プリパラ』 み~んなにとどけ! プリズム☆ボイス
2016年2月4日~2月7日 Zeepブルーシアター六本木
http://avex.jp/pripara/news/detail.php?id=1028234&artist_cd=PRIP2
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