『ミュージカル「忍たま乱太郎」』第7弾 ~水軍砦三つ巴の戦い!~
第7弾は、新たに兵庫水軍が登場するが、そのモデルとなったのは村上水軍、中世に瀬戸内海で活躍した水軍(海賊衆)である。原作では兵庫水軍は人気キャラ、川の渡し賃、海上通行料、漁業、海運、商船の護衛等を生業としている。忍術学園との関係は良好であるが、今回は原作でもアニメでも描かれていない、忍術学園のメンバーとの出会いを描いている。つまり、今回もオリジナルストーリーという訳である。
『ミュージカル「忍たま乱太郎」』は第1弾よりオリジナル性を強調してきた。原作の設定を上手く生かし、舞台だけの”忍たま”を創ってきた。演出家も何度か交代しているが、芯はブレることなく上演され続け、息の長い作品になっている。
オープニングはホラ貝の音で始まる。兵庫水軍の初参加、ということなので海をイメージした出だしになっている。いつもの忍術学園の風景、そこに兵庫水軍とドクタケ城の面々、キャラクターが増えた分、いままでのシリーズより賑やかな登場シーンとなっている。それから兵庫水軍の様子、お約束のギャグ”陸酔い”がなんとも可笑しく、手にしているスーパーの袋で作ったエチケット袋が妙なチープ感を醸し出す。そこにドクタケ城の面々が登場するが、いつもながらのツッコミどころ満載な悪だくみを考え、仕掛ける。この時点では兵庫水軍の面々、妖怪の噂を聞いてやってきた忍術学園の忍者を最大級で怪しむが、それもそのはず、相手は忍者、そもそもは諜報活動をするのが役目なので、無理からぬことである。お互いに探りを入れながら、同時に気になる存在でもあるという訳である。ドクタケ城の悪企みは地球規模なのだが、やってることはその10000分の1にも及ばない(笑)。それでも前向き(!?)な行動力、そしてまさかの仲間割れも今回”噴出”、ドクタケ城を捨て、兵庫水軍の”ドン”についた4人の忍者、性根は真面目で素朴、「意外といいとこ、あるじゃん」的な空気感がいい。忍術学園の1年生たちも可愛らしく、子供たちの面倒を見る兵庫水軍、そこに忍術学園の面々、”気配抜け”で兵庫水軍に”潜入”、そしてドクタケ城もまた”気配抜け”を使い、3グループ入り乱れての場面はドタバタぶりが可笑しい。ラスト近く、それぞれの武器を片手に戦うシーン、アクションも前シリーズより派手にところ狭しと大暴れ。そして今回初シーン、ストンプはなかなかの迫力、ちょっとタップダンス的なステップもあり、華やかさもプラスされ、見応えのある場面であった。ストンプ、文字通り”足を踏み鳴らす”のだが、シューズの裏にチップがついており、音に軽快なニュアンスもあって、ここは十分に楽しめるシーンに仕上がっていた。
実はストンプはジャズのリズムのひとつ。起源はアフリカン・ブート・ダンスで正確にステップを踏みながら、手も使ってリズムを刻む。時として”グループ”としての団結や結束を表現するので、兵庫水軍と忍術学園のストンプは、その後の仲の良さを暗示するシーンにもなっているのである。
結果は決まっているのだが、それでも観てしまう。かつてのTV時代劇、お約束シーン、展開、オチが楽しかったが、この『ミュージカル「忍たま乱太郎」』もそれに通じる。そこにちょっと新しさを加えて、変化させる。息の長さの秘訣がここにある。
なお、6月には再演も決定しており、初の地方公演も予定されているが原作者の出身地、尼崎でも公演があり、盛り上がりそうだ。
ミュージカル「忍たま乱太郎」第7弾 ~水軍砦三つ巴の戦い!~
2016年1月9日~1月23日 サンシャイン劇場
[再演情報]
【東京】6月18日(土)~7月3日(日) 東京ドームシティ シアターG ロッソ
【尼崎】7月15日(金)~7月17日(日) あましんアルカイックホール
【静岡】7月23日(土)~7月24日(日) 静岡市民文化会館 中ホール
http://www.musical-nintama.jp/
取材・文/高 浩美
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