
松本幸⼤、⽥中尚輝、嶋崎裕道が約60役に挑む︕役替わり朗読劇『5years after』-ver.14- 開幕レポート到着︕
堤泰之が作・演出を⼿掛ける役替わり朗読劇『5years after』-ver.14-が 2025 年 5 ⽉ 16 ⽇(⾦)に、東京・⾚坂レッドシアターにて開幕。今回が 14 度⽬の上演となる。本作は、3 ⼈の役者が約 60 役を演じ分け、公演ごとに違った配役が楽しめる“全公演が初⽇”な朗読劇だ。今回の出演者には、これが3度⽬の出演となる松本幸⼤、初出演となる⽥中尚輝、嶋崎裕道が名を連ねる。
『5years after』の主⼈公は、ミュージシャンの夢を捨てきれない⼤学⽣・⽔川啓⼈。3 ⼈の役者は 20 歳、25歳、30 歳の啓⼈を回替わりで演じながら、彼の⼭あり⾕ありな⼈⽣を声で紡いでいく。初⽇公演では、20 歳の啓⼈を松本、25 歳の啓⼈を⽥中、30 歳の啓⼈を嶋崎が演じた。
本作を演じるうえで、役者に課されるルールは「台本から⽬を離さない」「椅⼦から⽴たない」の 2 つ。松本が椅⼦から落ちるギリギリまで前に出て演じれば、嶋崎は⻑い⼿⾜を活かして役を表現。⽥中も動きが制限されている椅⼦の上とは思えない豊かな表現⼒を存分に発揮し、3 ⼈はステージ上に約 60 ⼈の登場⼈物を描き出していった。
本作の醍醐味は、演じる役者によって啓⼈に異なる“⾊”や解釈が⽣まれる点だ。3 ⼈は公演ごとに持ち回りで 20歳、25 歳、30 歳のいずれかの啓⼈を演じており、それぞれが思い描く年代ごとの啓⼈像の違いが、声のトーンや間の取り⽅などに表れていく。⾐裳やヘアメイクは変えず、座ったまま声だけで演じるからこそ、役者の個性がより際⽴つ芝居形式といえる。
初⽇公演では、松本の演じる 20 歳の啓⼈から物語が始まる。無垢でマイペースという⾔葉が浮かぶような声のトーンが印象的で、20 歳が持つモラトリアムを感じさせてくれた。公演後の反省会パートでは、3 度⽬の出演ということもあって「(過去の出演時とは)どこか変えなきゃ」という意識があったことを語っていた松本。残りの公演でも、また違った啓⼈像を⾒せてくれるのではないか。
松本からバトンを受けて、順⾵満帆な⼈⽣を歩む 25 歳の啓⼈を演じたのは⽥中。⽥中の⾃信たっぷりの声⾊は、⼀瞬で啓⼈が⼿にした成功を想起させる。2 ⼈の恋⼈とのやりとりというコミカルなシーンの多い 25 歳を、⽥中はテンポのよい芝居で痛快に演じきった。この回では、松本がかわいい系彼⼥の「みう」を、嶋崎がセクシーお姉さん系彼⼥の「真希」を体を張った芝居で表現し、おおいに観客を盛り上げていたのが印象的。ちなみに、反省会で「どっちの彼⼥がよかったか︖」と問われた⽥中は「みうがかわいかった︕」とニコニコ笑顔で答えていた。
⼀転、嶋崎の演じる 30 歳の啓⼈は、両親との会話のシーンで熱い涙をこぼし、客席にこれまでと違った温度の感情を届ける。反省会では「稽古ではあんなに早い段階から泣いたことなかったのに……」とこぼしていた。それほど、本番ではこみ上げるものがあったのだろう。⺟役を演じた松本、⽗役を演じた⽥中の好演もあり、⼈⽣うまくいくことばかりじゃない、というほろ苦くも等⾝⼤なエピソードが、リアルな質感と熱を持って伝わってきた。
あっという間の 60 分。3 ⼈は啓⼈が歩む半⽣を、⾊鮮やかに笑いあり涙ありで描ききった。本作のテーマであり、作中で何度か登場する「enjoy your life︕」。その⾔葉をそっと胸に届けてくれる⼈⽣の物語は、⼤きな拍⼿に包まれて幕を閉じた。
本編上演後は、反省会『3actors talk』と称したアフタートークがスタート。朗読劇中の真剣な表情とは打って変わって、3 ⼈ののほほんとした穏やかな雰囲気に癒やされる時間となった。前半では、この⽇演じた複数の役のこだわりをそれぞれに披露。松本のほぼ呂律が回っていない「⾆っ⾜らずな社員」役や、⽥中のカフェの壁を⾞で破って登場した「アメリカの舞台俳優のような男(ジョー)」役、嶋崎が⼀⽣懸命調べて役作りをしたという「ガングロギャル」についてなどなど。役作り秘話をたっぷりと語ってくれた。
トーク後半では、「10 年前の⾃分に何か伝えるとしたら︖」や「未来の⾃分の姿を⾒られるとしたら⾒たい︖」といった作品にちなんだ質問で⼤盛りあがり。松本が「過去を変えることはしたくないけど、アドバイスくらいはしたいですね」、⽥中が「19 歳の⾃分には 1 円でも多く貯⾦はしたほうがいいぞって伝えてあげたい」と回答。すると、続く嶋崎は「未来の⾃分が変わっていけば、過去の⾃分への捉え⽅が変わっていくと思う。それが過去が変わるってことなんじゃないですかね。僕はいまここでお芝居ができて幸せです」と回答。すかさず⽥中が「答え、変えていいですか︕︖(笑)」と切り込み、会場を盛り上げていた。
最後の挨拶では、松本の挨拶をきっかけに、まるでライブ会場のような雰囲気に。最後は、嶋崎の「エンジョイ」に、客席がコール&レスポンスで「ユアライフ︕」と応え、温かな雰囲気で幕を閉じた。
⼈⽣には後悔はつきもの。だからこそ、どう楽しく⽣きるのか。それが⼤事になってくるのだろう。役替わり朗読劇『5years after』-ver.14-は、観客に⼈⽣の楽しみ⽅のひとつのヒントをくれるのではないだろうか。
公演概要
役替わり朗読劇『5years after』-ver.14-
作・演出:堤 泰之
⾳楽:細川圭⼀
出演
松本幸⼤、⽥中尚輝、嶋崎裕道
劇場:⾚坂レッドシアター
⽇程:2025 年 5 ⽉ 16 ⽇(⾦)〜5 ⽉ 18 ⽇(⽇)
5/16(⾦) 15:00/19:00
5/17(⼟) 13:00/17:00
5/18(⽇) 13:00/17:00
※6回公演
チケット:7,000 円(税込・全席指定) ※未就学児不可
【⼀般販売】2025 年 4 ⽉ 19 ⽇(⼟)12:00〜
https://confetti-web.com/@/5ya_14
050-3092-0051(平⽇ 10:00〜17:00)※オペレーター対応
公式サイト:https://no-4.biz/5yearsafter/ver14/
宣伝:キョードーメディアス
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