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喜びの歌

【3.0レポート】『喜びの歌』

喜びの歌

突飛な出だし、何が始まるのだろうかと観客は必ず思うであろう。激しいノイズ音で時間や状況が“ワープ”する。照明もそれに呼応するように変化する。帽子をかぶった男(中河内雅貴)も登場、彼はデイトレーダー、かなりの拝金主義のようだ。黒づくめの男は、ここのバーのマスター、何かを諦めているような、達観しているかのようなミステリアスな雰囲気を漂わす。白いシャツの男は、この中では最年少の様子だ。この3人の関係、思惑、バックボーン、生き様、ほんの少しずつであるが、徐々にわかりかけてくる。台詞のやり取り、動き、テンポよく舞台は“動く”。様々な状況や言葉がやがてひとつの“線”になって浮かび上がる。
大貫勇輔のダンスがとにかく“凄い”の一言で、独特の振付がこの作品の空気の一端を担う。中河内雅貴とのダンス競演は見どころで、さりげない動きでも絵になる。印象的な台詞が多く、どの言葉が自身の心を揺さぶるかは、個々の観客次第。劇場は180席弱の小さくて濃密な空間、上演時間は約1時間15分程、長くはないのに、多くのことを雄弁に語りかける。

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