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ワンサくん

【レポート】せたがやこどもプロジェクト2016 キッズ・ミュージカル「ワンサくん」-祭りに行くぞ!大脱走!-

ワンサくん

始まる前の客席のBGM、懐かしい手塚アニメのテーマソングが流れる。『鉄腕アトム』『リボンの騎士』等子供より親世代や祖父母世代の方がテンション上がりそうな曲ばかりだ。開演前の“諸注意”は小林謙作、演出をしているのだが、子供達にとってはNHKのEテレ『みいつけた!』のオフロスキー役で人気を博している。
幕開き、元気よくワンサくんが登場、自由で素直なのら犬だ。ところが、ある日、つかまってしまい、とある屋敷のペットになってしまうが、そこには大勢の子犬たちが同じように集められて生活していた。屋敷の主人は無類の犬好きで、気に入った犬を集めて飼っていたのである。何不自由のない暮らしに慣れてしまっている犬たちにワンサは違和感を覚えるが、数ヶ月後には、この超楽チンな生活に慣れてしまっていた。美味しいものもあるし、保健所に連れていかれることもない。“でも何か違う……”そう感じるワンサだったが、それがなんだかわからなかった……。
子供達がとにかく元気いっぱいで歌って踊って走って、賑やかこの上ない状態。ミュージカルナンバーも多く、物語の展開もスムーズでスピーディー。全てのキャストに見せ場があり、“ここぞ”とばかりに張り切るので、観ていて微笑ましい。台詞も小気味よく、大人も十分楽しめるが、基本的なターゲットは子供。つまらなかったり、舞台転換がもたつくと子供は騒いだり、飽きたりして落ち着きがなくなる。レベルが高くないと子供はちゃんと観劇してくれないので、大人向けの作品を作るより実は大変だったりする。描かれているテーマは実に深淵、本当の幸福とは何か、何が大事なのか、そんなことを教えてくれる作品、来年もワンサに会えるのか、シリーズ化して欲しいと感じるものであった。

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