【オフィシャルレポート】ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 –大英帝国の醜聞- キャストコメント&オフィシャルゲネプロレポートが到着!
原作の『憂国のモリアーティ』は、集英社「ジャンプSQ.」で2016年8月から連載されている、構成/竹内良輔氏、漫画/三好 輝氏による人気漫画です。コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」を原案に、ホームズ最大の宿敵であるモリアーティ教授視点で再構築された物語が描かれています。コミックスは最新12巻(2020年7月現在)まで刊行されており、発行部数は累計220万部を突破しています。
ストーリーは、上流階級の人間達に支配され差別が蔓延している19世紀末の「大英帝国」を舞台に、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとするモリアーティと、宿敵シャーロック・ホームズの戦いを中心に描かれます。
前作同様、脚本・演出にはダイナミックな物語創りと繊細な心理描写を得意とし、幅広い物語作りの技巧に定評がある劇団「InnocentSphere」(イノセントスフィア)の西森英行氏を迎え、音楽は多数の企業CMを手がけ、演奏家としても多くのアーティストの作品に参加している、ただすけ氏が担当。ピアノとヴァイオリンの生演奏を交えた舞台作品という、ライブエンターテイメントならではの魅力を楽しめるミュージカルとなっています。
いよいよ、待望の第2弾が、7/31(金)より、天王洲 銀河劇場にて東京公演が開幕いたしました。つきましては、公演にかけるキャストの思いと、ゲネプロの様子をレポートと舞台写真でお届けいたします。ぜひご期待ください。
時は19世紀末、 大英帝国最盛期(パクス・ブリタニカ)のロンドン――。
古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間達に支配されている「大英帝国」。
生まれ落ちた時から一生涯の身分が決まるこの社会制度は、
必然的に人間同士の差別を生んだ。
そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。
これはジェームズ・モリアーティ、
或いはシャーロック・ホームズの 敵(かたき)の話――。
第一楽章「バスカヴィル家の狩り」
ロンドンの貧民街で子供たちの誘拐事件が発生していた。
フレッド(赤澤遼太郎)はそれが貴族の“人狩り”によるものだという情報を掴む。子供たちを救いたい気持ちと、ウィリアム(鈴木勝吾)の計画に邪魔になるのではないかという迷いで、思い悩むフレッド。その想いをモラン(井澤勇貴)に相談するが…。
第二楽章「二人の探偵」
“犯罪卿”という至高の謎の虜になった探偵シャーロック・ホームズ(平野良)はヨークからロンドンへ向かう汽車の中でウィリアム(鈴木勝吾)と再会する。
歓談の最中突如起きる殺人事件。その容疑者は相棒のジョン(鎌苅健太)だという。
真の容疑者を見つけるため、ウィリアムとシャーロックが競い合う!
第三楽章「大英帝国の醜聞」
陸軍省情報部長官のマイクロフト(根本正勝)は、ヴィクトリア女王より王室から盗み出された重大な“機密文書”を取り戻すよう指令を受ける。
ターゲットは“あの女”と呼ばれる、アイリーン・アドラー(大湖せしる)。
アルバート(久保田秀敏)が指揮するMI6は、文書奪還とアイリーンの抹殺に動き出す。
同じ頃、アイリーンはシャーロックへと接触を果たしていた。
“禁秘”の文書の内容と、アイリーンの真の“望み”とは…!?
犯罪卿と名探偵、美貌の悪女。奇妙な三角関係が、大英帝国の醜聞を暴き出す――。
【オフィシャルゲネプロレポート】
静かなピアノの音色に始まり、登場人物が歌い継いでいく力強いオープニング楽曲でミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2は幕を開けた。全てを震わせるような歌声が劇場を包み込み、19世紀末のロンドンへ観客を導いていく。
前作より大幅に曲数が増し、各キャラクターの見せ場も増えた印象。ピアノは境田桃子、ヴァイオリンは林周雅が続投しており、場面の情緒や緊迫感を盛り上げる。役者陣との呼吸もピッタリだ。
第1楽章《バスカヴィル家の狩り》では、貧民街の子どもを狩りの獲物に使う悪の貴族たちを討伐する「モリアーティ・チーム」を描く。
「犯罪卿」の頭脳であるウィリアム(鈴木勝吾)を中心として、彼に忠誠を誓うフレッド(赤澤遼太郎)とモラン(井澤勇貴)、そしてウィリアムの弟・ルイス(山本一慶)による華麗なアクションシーンが繰り広げられる。前作では封じていたウィリアムの仕込み杖も登場。身のこなしや言動に各々の性格が滲む。
モリアーティ3兄弟とその仲間たちが歌い上げる哀しくも美しい楽曲が、後には引けない彼らの正義感を印象付けていた。
一方、「ホームズ・チーム」の近況から始まるのが第2楽章《二人の探偵》。
今や名探偵として知られるようになったシャーロック・ホームズ(平野良)だが、「犯罪卿」に仕掛けられた事件の後は鬱々とした日々を過ごしていた。
前作で描かれた最初の事件(※原作「シャーロック・ホームズの研究」)を相棒・ワトソン(鎌苅健太)が解説する一節は、彼が『緋色の研究』を執筆した作者である、という設定を上手く引用している。西森英行の脚本・演出は細部まで抜かりない。
第2楽章では、急行列車の中で再会したウィリアムとシャーロックが、車内で起こった殺人事件を解き明かす。登場人物を原作から増やし、ダンスとリズミカルな楽曲で賑やかなイメージに。レストレード警部(髙木俊)のコメディセンスも効いている。
本来、敵同士である「犯罪卿」ウィリアムと「探偵」シャーロックのふたりが、目を輝かせてデュエットするシーンは胸躍る仕上がりだ。
続く第3楽章と第4楽章は、公演サブタイトルでもある《大英帝国の醜聞》。
「The Woman」と呼ばれる美女、アイリーン・アドラー(大湖せしる)が、英国王室の秘密文書を盗み出したことに端を発する大騒動である。
秘密情報部・MI6を率いるアルバート家の長男・アルバート(久保田秀敏)と、陸軍情報部の長官であるマイクロフト・ホームズ(根本正勝)の大人の色香が漂う駆け引き、兄・マイクロフトやアイリーンに振り回されるシャーロック、アイリーンと221Bの大家であるハドソン(七木奏音)が火花を散らすコミカルなバトルなど、見どころが盛り沢山。
「The Woman」が「犯罪卿」と「探偵」の双方を巻き込んでいく怒涛の展開から目が離せない。
仮面舞踏会やオペラといった華やかな群舞や歌唱シーンは、まさに“ミュージカル”ならでは。犯罪を巡るダークな雰囲気と重厚な楽曲が混ざり合い、独特の魅力を放っている。
主演の鈴木勝吾と平野良の個性、歌唱力を生かした見せ場はもちろん、歌唱を“効かせる”、あるいは台詞で“聴かせる”場面がバランス良く織り交ぜられており、物語の行方に引き込まれていく。特に一幕ラスト、アンサンブルを含めたキャスト全員による楽曲の迫力は圧巻だ。
これは“Obvious(明白/明らかに)”、極上のミュージカルである。
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