ノートルダムの鐘

劇団四季 新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』

アラン・メンケンとスティーヴン・シュワルツ
二人の巨匠が創造した美しく荘厳なミュージカルナンバー

ノートルダムの鐘

Michael Arden and the Paper Mill Playhouse Company
Photo by Matthew Murphy
©Disney

『ノートルダムの鐘』のミュージカルナンバーは、1996年に公開されたディズニー社製作の長編アニメーション映画に基いています。これらの楽曲を創り上げたのが、二人の世界的巨匠
アラン・メンケン(作曲)とスティーヴン・シュワルツ(作詞)です。

メンケンは、長きに亘り舞台音楽とディズニー映画などを手掛け、アカデミー賞8回他、グラミー賞やトニー賞など数々の賞を獲得。「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「塔の上のラプンツェル」など、代表作を上げれば枚挙にいとまがありません。そしてシュワルツも、舞台・テレビから映画まで多彩な活動を続けている異才のクリエイターです。
『ゴッドスペル』『ピピン』『ウィキッド』など多くのヒット作を世に送り出しています。

その二人が、映画「ノートルダムの鐘」への参加を依頼されたのは、初タッグで取り組んだ同社アニメーション「ポカホンタス」(1995年公開)の制作が佳境を迎えていた頃でした。世界的文豪ヴィクトル・ユーゴーのロマン主義文学を、いかにしてアニメーションにするのか。
二人をはじめとするチームは、その答えを“ユーゴーの小説”の中に求めます。つまり、そこで描かれる中世パリの時代の雰囲気を尊重し、また物語の基本的な価値観である“宿命感”や“人間愛”、“外見ではなく本質をみつめることの真実性”を、創作の中心軸に置いたのです。

結果二人は、オラトリオのように美しく荘厳な楽曲を数多く創り上げました。メンケンは、スコアに中世の古楽器を採用し、さらに宗教音楽らしい音の厚みを持たせるため、ロンドン・セントポール寺院のパイプオルガンと英国国立オペラによる歌唱録音も試みています。またシュワルツも、作詞のインスピレーションを得るため、パリに滞在。実際に早朝の大聖堂鐘楼へと上がり、主人公カジモドと同様、パリの街並みを見晴らしたといいます。
無論、1996年映画公開後、これらの楽曲は高い評価をもって受け入れられました。とりわけ同文化圏のヨーロッパでは絶賛され、1999年にはドイツ・ベルリンで最初の舞台版が誕生。
この公演には、メンケンとシュワルツも積極的に関わっています。

なお今回のスコット・シュワルツ演出版では、音楽が明確に“作品の柱”の一つとして据えられています。仔細は次へ譲りますが、シュワルツは、舞台上にクワイヤ(聖歌隊)を設置。中世の典礼劇や宗教礼拝よろしく、観客の視界内に専ら歌唱行為を担う人員を置くことで、楽曲そのものが、作品メッセージの直接的な伝達手段であることを示したのです。雄弁に、時に生々しいまでに作品を語り出す楽曲が、観客の魂を大きく揺さぶります。

メンケンとシュワルツ、二人の巨大な才能が共鳴し創造された『ノートルダムの鐘』の楽曲は、アニメーション、ミュージカルの枠を超えたマスターピースで在り続けることでしょう。

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