【3.0レポート】ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』
とにかく楽曲が耳に残るメロディで、現代的でもある。「マダムギロチン」は早々に登場する曲であるが、この迫力は革命の激しさを如実に表し、しょっぱなから観客をフランス革命の世界へと連れていく。また宝塚版のオリジナル楽曲である「ひとかけらの勇気」、これも名曲であるが、歌詞を変えて登場、パーシーが歌う、「悲惨な世界のために、今、僕は何が出来るのか」と。他国のことではあるが、やはり罪のない人々が命を落としていくのを見過ごすことが出来ない彼の心情と愛をあますことなく歌い上げる。また2幕冒頭のロベスピエールが歌う「新たな時代は今」、ここのソロは圧巻で革命の理想を歌い上げる。革命を信じたいロベスピエールの情熱と信念と、その裏に隠された一抹の不安を払拭したい気持ちが絶妙に混ざり合う。ソロから重唱になり厚みを持たせ、ロベスピエールは叫ぶ「とらえろ!スカーレット・ピンパーネルを!」、そして場面は変わり、イギリスの場面になるのだが、ここは早替りしてプリンス・オブ・ウェールズに。真逆の役なので切り替えが大変だが、上原理生が瞬間的に“キャラ変”するので、ここは拍手。己の正義を愚直に信じるショーヴラン、決して悪人ではないが、革命を信じ、ロベスピエールに徹底的に従うキャラクター、そして未だにマルグリットに未練もある人間味あふれた姿、石井一孝が初演に引き続き熱く演じる。石丸幹二のパーシーはもはや当たり役、歌唱の場面は流石のショーストッパーぶりで、コミカルな場面も鮮やか、また、いかにもなヒーローぶりも様になる。安蘭けいのマルグリットも愛に揺れ動く女心を的確に表現、そしてラスト近くの剣術、しかも二刀流!強い!また若手俳優陣中心のピンパーネル団、元気で威勢もよく、彼らが登場するだけで新しい風が吹くが如く、爽やかさも感じる。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。