【3.0レポート】OPERA「セヴィリアの理髪師の結婚」
登場人物も「セヴィリアの理髪師」部分と「フィガロの結婚」部分、1人が共通して出るキャラクターもいる一方で声質等の関係で2人で演じるキャラクターも存在する。伯爵とバジリオは2名、声質では同じ役者が歌うのは無理がある、という必然があるが、それを逆手にとった手法。伯爵は「フィガロの結婚」では浮気をするために色々と策を練るキャラクターであるのに対し、「セヴィリアの理髪師」では恋に正直なキャラクターになっている。バジリオは2人が常に同時に出てくるが、ゴシップ好きで少々軽いノリ、お金大好き、二人三脚でひとつのキャラクターを表現し、シーンのアクセント&コメディリリーフとして活躍、「こういうのもありだな」と思わせてくれる。ところどころで台詞が入るが、これは元の戯曲から。これが入ることによってより戯曲の内容がわかる仕組みになっているので、改めて「そうだったのか」と思えたりする。
もちろんラストはお約束的な大団円となるのは先刻承知、ストーリーもオチもわかっているが、合わせることによって新しく、斬新になる。「セヴィリアの理髪師」と「フィガロの結婚」という有名過ぎる“有りもの”のオペラを思い切って混ぜてみる、美味しいところはより美味しく、そして元の戯曲もちょっと取り入れることによって“変化球”、“無理でしょ、それは”のネガティブな考えを逆手にとった企画、上演されるたびに少しずつ改訂も可能、シンプルな舞台装置は能・狂言に通じるが、考えようによっては様々な演出が可能、そういった意味においてはのびしろを感じさせる作品だ。
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