舞台「イムリ」

【レポート】舞台「イムリ」

舞台「イムリ」

設定はやや複雑でしかもSFなので描かれている世界観の設定は特殊なものであるが、本質的にはシンプルである。いつの世にもある権力争い、上流階級があれば、下層階級がある。ちょっと前に日本でも“勝ち組”、“負け組”といった言葉が流布した時期もあった。そういったことを考えると普遍的な人間のドラマとも言える。デュルクは本質的には純粋で性根の優しい少年、故に次第に自分が生きている世界や階層社会に疑問も感じるが、次々と起こる出来事に真摯に向き合う姿を内海啓貴が熱演する。女役に挑戦する谷佳樹、切れ者・ラルドを秋沢健太朗がクールにしかし内に秘めたパッションを感じさせながら演じる。また、群民の出であるガヴィド(西野太盛)は優秀ではあるが、自分の出身にコンプレックスを抱いている。こういった少年たちのキャラクターのコントラストと友情も、この作品の魅力だ。デュルク、ラルドは共にルーンへ旅行へ行く。デュルクに期待をかける呪師系の中心的存在で策士のデュガロ(和興)に部下のガラナダ(塩田康平)等、くせのある人物が物語に彩りを添える。

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