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ダニーと紺碧の海

【3.0レポート】「ダニーと紺碧の海」

ダニーと紺碧の海

年齢、抱えている事情等、お互いに話す。社会に生きづらさを感じ、繊細だが暴力的な男、名はダニー、荒んだ家庭、自分の殻に閉じこもろうとする女はロバータ。どう見ても裕福とはほど遠く、心の中にやるせなさを抱えている2人。この物語は2人が出会ってから数時間の出来事である。何かが事件が起こったとか、そういうことは全くない。交わることのなかった2人がバーで出会う。そして男は女の家に行くことになる。孤独で、どちらかというと自己否定感が強い2人。しかし、言葉を交わすことによってそれぞれの心の中にさざ波が立ち、変化していく。「俺は人を殺したかもしれない」「全ての奴に腹がたつ」と言う男に「あんたは狂っている」という女。男は女の首を締める、地下鉄の音、そこで男はハッとし、「俺はいつも一人ぼっちだ」と言い、女は寄り添う。帰ろうとする男に女は言う「あんたに家はない」と。ピアノの旋律が響くが、ここは寄り添おうとする2人の魂のようだ。そして場面は変わり、女の家に、ピアノの調べは優しげだが、どこか儚げにも聞こえる。
何気ない会話、ろうそくに火が灯る、ゆらゆらと揺れる炎は危うさと揺らぎ、船の音が聞こえる。舞台のセット全てが効果的でラストの心情に連なっていく。箱の上に置いてある人形にはウェディングドレスが着せてある。天井に上がったパネルに水の揺らめきが写る。饒舌にしゃべる男は時としていきいきと見えるが、それだけの言葉では語り尽くせない。「結婚しないか?」と男は言うが、朝になって女は「あんたは野蛮人」と言い放ち、食事が終わったら出て行って欲しいと言う……。

ダニーと紺碧の海

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