【レポート】丸美屋食品ミュージカル 『アニー』
舞台転換もスピーディーで無駄がなく、特に孤児院〜屋敷への転換、ニューヨークの街に繰り出すシーンは滑らか。ニューヨークのシーンでは街を楽しみ、観劇、ショーを楽しむ3人の姿を中心にダンサーの群舞が華やかさを添える。特にショーのシーンの子供たちのダンスのスキルの高さは必見だ。そして楽曲は、もう語る必要がないくらい完璧!全ての楽曲が耳に残り、ライトモチーフも効果的だ。
時代背景、1929年に世界恐慌が起こり、景気は悪くなり、失業者であふれ、スラム街が出来る。そこに警官がやってきて取り壊すシーンもある。その後、大統領に就任したルーズベルト大統領がニューディール政策を打ち出す。アニー連載開始当初は戦争で好景気に沸いていた。が、ミュージカルの時代背景は1933年、という設定。この後は第二次世界大戦に突入していくことになるが、こういった世界史を押さえておくと面白さは倍増する。またファッションも見逃せないポイントで、アメリカはそれまではパリのオートクチュールの影響が強かったが、1930年代に入り、少しずつであるが、アメリカ独自のファッションを意識するようになる。グレースが着用していた細身のスーツ、くびれがあり、スカート丈も長め、こういったファッションもこの時代背景と無縁ではない。
漫画原作の連載開始からじきに100周年、そしてミュージカル化されてから世紀を超えて演出を変えながら上演され続けているという事実。優れたコンテンツというものはこういうものなのだ、という見本のような作品である。
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