【レポート】丸美屋食品ミュージカル 『アニー』
もう知り尽くされている物語、ミュージカル。新演出、セットがシンプルでありながらもこの時代の空気を感じさせる。大富豪・ウォーバックス邸はアールデコ調でシックでお洒落、そこで働く使用人たちの制服もディテールの凝った衣裳だ。グレースはシックで上品なスーツをさりげなく着こなし、ウォーバックスの、特にコートは億万長者らしくゴージャス!そのものだ。そして孤児院からやってきたアニーにはいかにも“お嬢様”な洋服を用意する。対する孤児院のハニガンの服装は、セクシーでプリント柄、ちょっとエキゾチックなものもあり、それなりにお洒落を楽しんでいるが、どことなくチープ感が漂う。そんなハニガン演じるマルシア、歴代のハニガンらしい意地悪さを踏襲しつつ、ちょっとキュートで男好きなキャラを匂わせる。洗濯屋に媚を売り、アニーを連れてきた警官にも“セクシー攻撃”、ラジオ・ドラマに夢中な男運のない可愛いらしい残念キャラが憎めない。その対照的なのがグレース、一分の隙もなくビシッとしたスーツ、いかにも“出来る女”だが、2幕では舞台袖に引っ込んだところで悲鳴と物が落ちる音、意外とドジっ子な面を見せてこちらも負けないくらいな可愛さを彩乃かなみがアピールする。大富豪のウォーバックスは登場した瞬間はいかにも横柄な、金にものを言わせるしかし切れ者のビジネスマンといった空気。そしてアニーを見るや「男の子じゃないのか」と言った発言をする。しかし、アニーと接するにつれ、彼の心境は変化する。最初は威圧感たっぷりに登場し、そこから大柄な、見た目に反しての繊細さを垣間見せる。歴代のウォーバックスらしい大物ぶりにプラス、若々しい溌剌さを加えた人物像を藤本隆宏が魅せる。しかもいままではコミックの姿を踏襲したスキンヘッドであったが、今回は髪の毛が!しかし、違和感もなく、それがかえって個性となって好感が持てる。そしてルースターとリリーの軽薄ぶりは、もう“お約束”だ。
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