さよならソルシエ

【レポート】ミュージカル「さよならソルシエ」再演

さよならソルシエ

フィンセント・ファン・ゴッホとテオドルス・ファン・ゴッホ、血を分けた兄弟だからこそ、の関係性、絵の才能があるフィンセント、今やこの地球上で彼の作品を知らない者はいない、と言っても過言ではない。テオドルスはその才能をいち早く見抜いていた。天才的な才能をリスペクトしつつも、嫉妬が渦をまく。一方のフィンセントはどこか無垢で素直な性格、だからこそ、見るもの全てが美しく、それをキャンパスに表現出来る。その濃密なやり取りと空気を良知真次と平野良が紡ぎだす。
狂言回し的な存在のジャン・サントロ、テオドルスの申し出に驚きつつも、次第にこの兄弟の虜になっていく様を合田雅吏が緻密に表現する。天才画家はその生涯も悲しく情熱的であるべきだとテオドルスは言う、狂気の画家の人生は凡庸であってはならないと考える彼はある意味、天才的なプロデューサーであると言えよう。しかし、実はその心の奥に秘めた想いが彼をそうさせる。革新的な考えを持ち、権威的な芸術アカデミーに対して堂々と“喧嘩を売る”、凡人には到底出来ない行動を取る。その実行力、想いの強さ、先見の明で彼は周囲からいつしか“ソルシエ”と呼ばれるようになる。そんな彼を快く思わない芸術アカデミーのジャン・ジェローム、権力で押さえつけようとするが、それは自信のなさの裏返し、自身もまた絵を描くが才能がないのは明らか、絵を描くジャン・ジェローム、その苛立ちを泉見洋平が絵筆に込める。

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