【3.0レポート】studio META PRODUCE vol.8 2017「破片 1.5」
彼らの会話の行間は哲学的、かつ普遍的な匂いを放つ。現実味のあるものは人としての欲望、「まともにあるのは性欲だけ」と先輩は言う。生物としての欲望は実感があるが、“人間としての”存在、とでも言うのだろうか、ラスト近く、先輩は「俺はなんでここにいるのか」「自分は何者でもない」と言う。何故、ここにいるのかはたぶん永久にわからない。自問自答しても答えは得られない。「心に残っているのはあなたの破片ばかり」と言う。
この物語はいわゆる結果というものはないし、何か“オチ”のようなものもない。しかし、それが現実なのだ。最初のモノローグとラストのモノローグは実はリンクし、シンクロし合う。一見、真逆に見える2人は実はそうではないことがわかる。メビウスの輪のような物語、この難しい2人芝居に新井和之、三木秀甫が出ずっぱりで挑戦、張りつめた二人のやり取りは気迫がこもる。自分は何者なのか、何故、存在するのか、この命題の答えはどこにあるのだろうか?そしてこんなやり取りの翌日もきっと2人はここにいるに相違ない。日常に潜む、“狂”と“生”と、心に破片が突き刺さる。
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