【レポート】舞台「メサイア―暁乃刻―」
息もつかせぬアクションはこの作品の見どころのひとつで、銃を使い、アクロバティックな動きで全体が立体的に。格闘技の様々な型を駆使し、技の美しさも魅せる。アンサンブルの面々の細かい動きもキビキビとしており、また舞台が八百屋になっているので奥行きも感じる。中原裕也や大澄賢也が芝居で作品をしっかりと引き締める。白崎護演じる赤澤燈は大熱演で悠里淮斗への想いを全身で表現する。サクラ新入生を演じる長江崚行(御池万夜)、山沖勇輝(柚木小太郎)、橋本真一(小暮洵)、この3人のバランスが絶妙、アクションに芝居に健闘。
サクラは警察省警備局特別公安5係に所属するスパイ、国籍も過去の経歴も抹消され、公式には存在しない者として扱われている。その存在の儚さ、散っていく桜のように一瞬の輝きを放っている。そんな宿命を背負って生きる白崎護らは誰よりも生きることに一生懸命、本気で生きるとはこういうことなのだ、ということをみせてくれる。そして同じ運命の者同士の絆、ダークな世界観だが、そこで描かれているのは人間の本質である。ちなみにネクロマンサー(necromancer)のnecroとは死体のこと。そのために死霊使いと訳されることが多いが、ゾンビのように死体を操る術を使う者の事をさす言葉である。
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