
【レポート】ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVE 製作発表の様子をお届け!
シェイクスピア最後の作品として知られる「二人の貴公子」(共作・ジョン・フレッチャー)を、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクターであり、『レ・ミゼラブル』初演を演出した世界的演出家ジョン・ケアードの脚本・演出により、堂本光一と井上芳雄の初タッグをえて、2018年にミュージカル「ナイツ・テイル-騎士物語-」を帝国劇場にて世界初演。
以来、2020年のコンサート版、2021年の帝劇での再演を経て、その究極の形として、6000人超のアリーナに、100名を越えるキャストとオーケストラが集まり、あの愛すべき作品をライブとして表現するのが、今回上演される『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVE。
自身の演出作、舞台『千と千尋の神隠し』が、世界最高の演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞に今年度の最優秀新作演劇作品賞(エンタテイメント部門)にノミネートされた、ジョン・ケアードが、ARENAに合わせて脚本・演出を手掛け、新たな『ナイツ・テイル』をお届け。
出演は、堂本光一、井上芳雄、音月桂、上白石萌音、大澄賢也、島田歌穂ら、お馴染みの豪華キャスト、そして新キャストとして宮川浩。
演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団の魅惑のフルオーケストラ。初演以来の音楽監督、ブラッド・ハークが自ら指揮を手掛ける。邦楽をさらに充実させるべく、堂本光一と『Endless SHOCK』の輝かしい歴史を共にした石川直と日野一輝が新たに加わり、4名の太鼓奏者、篠笛・能管、尺八、津軽三味線奏者が、オーケストラと競演。
東京ガーデンシアターの名に相応しく、舞台は森の中で演奏されるような荘厳な世界観で、ダンスとアクションも再現し、コンサートの枠を超えたARENA LIVEとなります。
そんな本作の製作発表が、2025年6月3日(火)に都内にて実施され、堂本光一、井上芳雄、音月桂、上白石萌音、島田歌穂、宮川浩、大澄賢也、ジョン・ケアード(脚本・演出)、今井麻緒子(日本語脚本・歌詞)らが登壇した。
まず初めに、ARENA LIVEとしての上演が決まったことへの感想をきかれると、ジョン・ケアードは「『ナイツ・テイル』を再び日本の皆様に披露できること、大変光栄に思っております。本作には現代に沿った3つのテーマがあり、戦争が悪、環境保護、社会における女性の地位の向上。これが今まで以上に大事になってきていると感じていますし、この時期にまたやれること、そして僕の大好きな役者たちと再び仕事ができることを嬉しく思います」と、今井は「この作品は、既にある作品を翻訳するのではなく、1からミュージカルを作ることを初めて経験した作品なので思い入れがあります。こうして皆さんを見ていると、その時の記憶がすごく蘇ってきます。またこうして再びできること、嬉しく思います」と喜びを語った。
続いて堂本は「ジョンを筆頭に、またこうして『ナイツ・テイル』ができること、本当に嬉しく思っております。一旦クローズになりましたが、帝国劇場から始まった作品なので、何年後になるかは分かりませんがまたそこに繋いでいく意味もあると思います。今回は6000人規模のお客さんが入る中でやらせていただくということで、正直僕らもまだどういう形になるのか分かっていない部分が多く、自分自身も驚くことや悩むこともあるかもしれません。そうした環境に自分が入れること、とても楽しみにしております」と、アリーナ公演への意気込みを語った。
井上は「『ナイツ・テイル』に再会できたことを本当に心から嬉しく思います。本編を最後にやった時は舞台セットなど破棄するという話だったので、もうやることはないのかなと、1度お別れした気持ちでいたのですが、前回のコンサートバージョンでまた再会できて、今回はアリーナバージョンという、形を変えての思いがけない再会ができて幸せに感じています。それだけこの作品が可能性や力を持っているんだなと思います。光一くんと出会った作品でもありますし、また新しい出会いもあるでしょうし、いろんな意味で楽しみにしています」と語り、個人的に今日嬉しかったこととして「初演の製作発表の時はスケジュールの都合で萌音ちゃんがパネルだったんですが、今日は立体の萌音ちゃんなので嬉しいです(笑)」と話し、会場を笑わせた。
音月は「光一さんと芳雄さんの夫婦漫才のような雰囲気を、今回も見れることが幸せです(笑)。2018年の初演の時に、ジョンや麻緒子さんが家族のようなカンパニーを作り上げてくださったので、皆さんの絆もすごく深まり温かい現場でまた新しい作品を生み出せるような気がしています。とても楽しみです。一生懸命頑張ります」と、上白石は「初演が7年前で、まだ成人したばかりで右も左も分からないでいた頃から、偉大な先輩方の背中を追いかけ、なんとか1公演ずつ重ねてきました。公演がない期間も気付いたら歌を口ずさんでしまうくらい自分の一部になっていて、役に出会いなおす度に、奥深さや難しさを感じていつも初心にかえるような気持ちでいます。初演の時は芳雄さんと親子のようだと言われておりましたが、ちゃんと恋人に見えるように頑張って大人になりたいと思います」と、島田は「ジョン・ケアードさんとは約40年ほど前に『レ・ミゼラブル』の初演で初めてご一緒させていただき、その後『べガ―ズ・オペラ』という作品、そしてこの『ナイツ・テイル』の3作品でやらせていただきました。『ナイツ・テイル』初演の時、1からオリジナル作品を作っていくジョン・ケアードさんの現場が本当に毎日新鮮で楽しくて、そういう時間を共有させていただけたことが宝物でした。今回、再び『ナイツ・テイル』でご一緒できること、そして素晴らしい皆様とまた舞台に立てることを嬉しく思います。今までにないスケールでの公演になりますので、どんなジョンマジックが起きるか、それを心から楽しみにしています」と、それぞれ想いを述べた。
また、新キャストとして出演する宮川は「初出演なので、台本を一生懸命読んで、映像をいっぱい観て、勉強中です。どんな風になるのか、いまは不安でいっぱいです。ジョンとは40年前に『レ・ミゼラブル』でご一緒しました。皆さんのことも頼りますので、どうぞよろしくお願いします」と、初参加への意気込みを語った。
そして大澄は「初演から7年経ちました。その時がジョンとの出会いで、毎年のように仕事をさせていただいて、この7年間で役者としても成長できたと、本当にジョンには感謝しています。自分ごとですが、今年は年男でして、赤いちゃんちゃんこで厄年でもあります。厄年は悪い意味で考えがちですが、芸能の世界では良い役がつく、出会えるという年でもあると言われているので、まさにこのアリーナライブが僕にとってはひとつの区切りで、また新たなスタートになるような舞台になるんじゃないかなと。僕自身、すごくワクワクしながら期待しています。今回は振付のアシスタントとしても、ジョンのサポートをしますので、みんなと一緒に新たな『ナイツ・テイル』を作っていきたいと思います」と、力強くコメント。
続いて、松井るみによる、舞台セットのイメージ図がお披露目された。東京ガーデンシアターのアリーナに鬱蒼と生い茂る森が現れる神秘的な舞台をイメージした舞台セットについて、ジョンは「るみさんには、とにかく自然をたくさん取り入れてほしいとお願いしました。役者たちにはずっと舞台の上に立ち続けていただこうと思っていて、後ろに東京フィルハーモニー交響楽団のフルオーケストラと和楽器も8人入り、普通のミュージカルの劇場では出来ないような、すごく大きな音が奏でてもらいます。それを取り巻く環境は自然なものにして、観客がまるで森の中にいるような、そんな環境にしたいと思いこうしたセットにしました」と伝えた。
ジョンのコメントを聞いて、堂本が「ジョンは演劇を作るうえで、出演者みんながステージ上にずっといて見続けるという形にしたいと、初演の時にも言っていて。それをみんなで大反対した(笑)」と当時を振り返ると、井上も「それで捌けれるになったよね(笑)」と明かす場面も。
また、ジョンが「(コロナ禍に)制限がある中で行われたコンサートはストーリーの伝え方など、オリジナルとも違って面白かった。もう1回大きいスケールでやってもいいんじゃないかと考え、今回はひとつも欠けることなく音楽をやりたい。振付も全部欠かさずやりたい」と語ると、会場からは大きな拍手が。
帝国劇場で行われた公演と今回のアリーナライブとの違いを質問されると、ジョンは「ミュージカルではシェイクスピアオリジナルから取った台詞が多いんですが、今回のコンサートでその台詞を全部言うと物凄い量になってしまうので、そこを大幅にカットし、代わりにキャラクターが何が起きているのかを説明して次の歌へ入るという構成になっています」と明かした。
また、本作の上演時間についても問われると、ジョンは「休憩なしの2時間30分前後を考えています。息抜きとオーケストラの人たちが休む時間として、10分くらい話すような時間があります」と答えた。それを聞いた井上が「その会話の部分が伸びる可能性もありますもんね。僕たち喋っちゃうとね」と言うと、堂本も「長くなっちゃうから」とコメント。そんな2人に対し、ジョンが「短くしてください」とクギを刺すと、会場からは笑いが起こった。
『ナイツ・テイル』の魅力や好きな点について質問されると、堂本は「シェイクスピアそのままでは上演出来ないような内容を、ジョンが逆手に取って、いかに名誉にこだわることが今の時代において滑稽に見えるか。それを男が真剣にやることによって、少しクスッと笑ってしまうような形になるっていうのが、すごくバランスよく描かれていると思うんです。初演の時はなかなか自分たちも読み取れないでいたんですが、演じている側もやりながら気付かされる作品になっている。やればやるほど発見があり、そこがすごく面白いなといつも思っています」と、井上は「ジョンの作品は、いつも台本を読んだ時点では結構真剣な話しだなと感じるんですが、やってみるとすごいコメディに仕上がっている。僕たちは真剣にやっているけど、それをやればやるほど面白いという、本当の意味でコメディの楽しさがあると思います。また、音楽だけでも成立するくらい魅力的な曲をポール・ゴードンさんが書いてくださっていて。それを今回、オーケストラで奏でられるので、音楽の強さも魅力のひとつです」と語り、続けて音月は「お二人が言ってくださった通りだなと思いますし、私はセット転換も好きです。物語の流れと並行して、出演者もその場に居ながら次のお話をお客様に届けていくタイプの転換の仕方で。今回もすごく期待しています」と、上白石は「どのキャラクターも愛情を注いで作られていて、とても魅力的です。いろんな身分、境遇の人たちが出てくるんですが、いろんな縁から巡り合い絡み合っていくところに、物語の面白さを感じています。今年も自分のキャラクターを掘り下げていき、またいろんな感情を発見したいです」と、島田は「重厚な脚本、素晴らしい音楽、素敵な演出の中に立てていること、本当に夢のようでした。和楽器を取り入れた演奏が、和と洋が絶妙に絡み合い、独特で神秘的な世界になっていると感じています。あとは、光一さんと芳雄さんの素敵なコンビネーション、そこを中心に、私たちも本当に幸せな時間を共有させていただけました」と、大澄は「自分にとっては一択です。光一くんと踊れること。踊りに言葉はないんですが、目線を合わせた時に感じあえるものがあり、光一くんは一緒に踊っていて楽しいですし、またコンサートでも踊れたら」と、思いを語った。
公演概要
ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語‐』ARENA LIVE
2025年8月2日(土)~10日(日) 東京ガーデンシアター 12回公演
アーサイト:堂本光一 パラモン:井上芳雄
エミーリア:音月 桂 牢番の娘:上白石萌音 ヒポリタ:島田歌穂 シーシアス:宮川 浩 ジェロルド:大澄賢也
牡鹿 松野乃知 / 穴井 豪 岩下貴史 大山五十和 佐藤セイガ 西口晴乃亮 石井亜早実 遠藤 令 酒井比那 塩川ちひろ 知念紗耶 富田亜希
植木達也 神田恭兵 小西のりゆき 茶谷健太 照井裕隆 中井智彦 広瀬斗史輝 本田大河
青山郁代 岩瀬光世 咲花莉帆 田中真由 堤 梨菜 原 梓 藤咲みどり 水野貴以
邦楽 武田朋子(篠笛・能管) 小濱明人(尺八) 織江 響(津軽三味線) 松橋礼香(津軽三味線)
三浦公規(太鼓) 内藤哲郎(太鼓) / 石川 直(太鼓) 日野一輝(太鼓)
脚本・演出 ジョン・ケアード
作詞・作曲 ポール・ゴードン
日本語脚本・歌詞 今井麻緒子
原作 ジョヴァンニ・ボッカッチョ[Teseida]
ジェフリー・チョーサー[騎士の物語]
ジョン・フレッチャー/ウィリアム・シェイクスピア[二人の貴公子]
音楽スーパーバイザー・オーケストレーション・編曲・指揮 ブラッド・ハーク
振付 デヴィッド・パーソンズ
追加オーケストレーション コナー・キーラン
振付助手 大澄賢也/西岡憲吾
アクションコーディネーター 諸鍛冶 裕太
歌唱指導 中井智彦
装置 松井るみ
照明 中川隆一
音響 山本浩一
映像 栗山聡之
衣裳 ジーン・チャン
ヘアメイク 宮内宏明
稽古ピアノ 宇賀村直佳
演奏 東京フィルハーモニー交響楽団 東宝ミュージック ダット・ミュージック
演出補佐 今井麻緒子
演出助手 小貫流星
舞台監督 北條 孝
通訳 今井麻緒子/内藤章子
制作 斎藤凌子
制作助手 水島由季菜
プロデューサー 齋藤安彦/塚田 淳一
製作 東宝
宣伝美術 小西玲子 駒井茂
撮影 ハービー・山口
撮影協力 成田ゆめ牧場
協力:住友不動産商業マネジメント株式会社・東京ガーデンシアター
テーベの騎士で従兄弟同士のアーサイト(堂本光一)とパラモン(井上芳雄)。テーベ王の伯父のクリオン(大澄賢也)に仕える二人は、熱い友情を誓い合い、騎士としての誇りと名誉を何よりも大切に生きてきた。戦争により敵国アテネの大公シーシアス(宮川浩)に捕虜として捕らえられるも互いに励ましあいながら同じ牢獄で過ごしていた二人は、ある日、シーシアスの美しい妹・エミーリア(音月桂)を牢獄の窓から見掛け、同時に恋に落ちてしまう。だがアーサイトは追放され、テーベに戻るよう命じられる。アーサイトは、残ったパラモンがエミーリアを奪うのではないかと、互いに猜疑心を抱きながら、愛するエミーリアを必ず手に入れると決心し道を違えていく。
テーベへ戻る道中で、アーサイトは森の楽団を率いるダンス指導者ジェロルド(大澄賢也)に出会う。エミーリアの誕生祝いの稽古をしている一座に名を偽りダンサーとして加わったアーサイトは、再びエミーリアに出会うチャンスを得る。その頃パラモンは、食事の世話をしてくれる牢番の娘(上白石萌音)の手引きにより牢獄を脱出する。牢番の娘は脱獄という危険を冒すほどパラモンを愛していたが、ふとした瞬間にパラモンが去ってしまい、ショックのあまり正気を失ってしまう。
エミーリアとの再会を果たしたアーサイトは、シーシアスが愛するアマゾンの女王・ヒポリタ(島田歌穂)の計らいもあり、周囲には正体を隠して彼女に仕えることになったが、シーシアスやエミーリアたちと狩猟に出かけた森で、無二の友で今や恋敵となったパラモンと出会う。
艱難辛苦を経て再会した二人は、どちらがエミーリアを得るにふさわしい男か、愛と名誉と生死を賭けて決闘を挑む。
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