【3.0レポート】ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』
このミュージカルは実に多くのことを観客に提示する。革命とは一体、なんだったのか?古い体制を倒し、よりよい世の中にするはずだったのでは?しかし、現実は罪のない人々が処刑される、皆「次は自分では?」と恐怖に怯える、革命の中心人物さえも、である。また愛を信じる心はちょっとしたことで簡単に揺らいでしまう、そんな人間の弱さ、駆け引きに疑心暗鬼に、陰謀や思惑が入り乱れ、交錯する。さらに革命を背景にスリリングな展開、そんな状況での正義とは?である。パーシーもマルグリットもショーヴランもロベスピエールも、皆、己の正義を信じている。この作品はあくまでもコメディなのである。もちろん、「コント」とか「お笑い」とかのコメディではない。革命は見方を変えればテロである。正義と信じてギロチンで人を処刑するのは殺人ではないのか。いわゆる“風刺”であるが、冒険活劇な要素もあり、観客をドキドキさせる仕掛けも伏線も張り巡らされている。舞台セットもシンプルで派手な装置はないが、わかりやすく、場面毎に様々な表情をクリエイトする。この作品はくせになる面白さで何度でも観たくなる。オチも何もかもわかっていても、である。
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