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ちょっと、まってください

【3.0レポート】ナイロン100°C 44thSESSION 『ちょっと、まってください』

ちょっと、まってください

登場人物たちの会話、よく聞くと「え?え?なんで、そっちにいっちゃうの?」とか「それはないでしょ」とか「いや、飛躍しすぎ」と思うのだが、当事者たち、彼ら的には理屈が通っていて、何も不思議に感じていない。いろんなことに一喜一憂する姿は極めて人間的で愛すべき行動を取る。少しずつ一家が入れ替わるのだが、これがちょっと不気味でサスペンスの匂いもある。その怖さがジワジワとくるのだが、それ以上に彼らの会話と行動がシュールで観客席からは頻繁に笑いが起きる。勘違いや解釈の可笑しさが、幾重にも重なっていき、それが不条理のメビウスの輪のようになっていく。伏線も何重にも張り巡らされていて、それらが結末へと連なっていく。舞台セットも効果的で盆で家の外と中を見せる。家の壁は単なる壁ではなく、“異なる世界”の境界線のようになっている。誰もまともに玄関から出入りせず、窓から出入りするが、それが何故か不自然さを感じさせない。小さな窓が2つの世界をつなげている。そしてダークな味付け、ソファのシミが少しずつ変化していくにつれて、ダークな空気感が全体に浸食していくが、それが妙にぞくぞくする。ラストはあっけらかんとしていながらも不気味な余韻が妙に心地よい。
俳優陣も達者な面々が揃った。誰がどう上手いのかというのは野暮、とにかく適材適所、そのハーモニーが世界観を立体的に、重層的に見せてくれる。休憩をはさんで3時間、というボリュームだが、長さを感じさせず、笑っているうちに時間が過ぎていく。ちょっとくせになる面白さだ。

ちょっと、まってください

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