【3.0リポート】『オーバーリング・ギフト』
物語は架空の近未来で繰り広げられていく。
見るからに荒廃した世界。その中で生まれた人間は、誕生した時に着けられる【リング】の存在によって自身の価値を管理されていた。
リングには様々な【才能】があり、それはひとつづつ異なっている。そして、そのリングを着けられるのは、人生で一度だけ。
リングを子供に与えられる権利を有している親たちは、少しでもよりよい才能を有しているものを自らの子供に着けるため、特に裕福な家庭では、金や権力にものを言わせ競い合った。
少しでも【優秀】な子供を得ようと。
そして、リングを着けられる者たちと着けられない者たちの居住区域は、厳重な【壁】で仕切られていた。権利を有する者は【オーバー】と呼ばれ、壁の中で保障された生活が約束される。しかし権利を持たないものは、壁の外で【ロスト】と呼ばれ、【ロスト街】と呼ばれる区域で貧困した生活を強いられていた。
ある日、オーバーの中の裕福な少年アスター(猪塚健太)は自分と同い年位の少年が暴漢に襲われている所に遭遇する。銃を突き付けられた彼を見たアスターは、とっさにその命を救うため自分のリングを暴漢にわたしてしまう。
幼いころからすべてにおいて恵まれていたアスターは、自らがリングのおかげで守られていたことなど、特に意識をしたことなどなかったのだろう。
リングを失っても、自分の立場は何も変わる事は無いと。むしろ人助けに自らのリングを使った事を、自分の父親は誇ってくれるだろうと、ただの一つの疑いも持っていなかった。
ところが、父親はそんな彼をいとも簡単に絶縁してしまった。そこでアスターは初めて悟ったのだった。自分の価値はリングを着けることによって生じた【優秀な才能を持った息子】というものにしかなかった、という事を。
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