【レポート】フロリアン・ゼレールによる家族三部作、二作品同時上演!岡本圭人 主演舞台『Le Fils 息子』が開幕!
2024年4月9日(火)東京芸術劇場シアターウエストにて『Le Fils 息子』が開幕。
本作は『Le Père 父』、『La Mère 母』と共に作のフロリアン・ゼレールが家族三部作として書いた作品で、フランス演劇界で最高の栄誉とされるモリエール賞を受賞するなど高い評価を受け、ロンドンのウエストエンドなど世界13か国以上で上演。ゼレール自身の監督によりヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーンの出演で映画化され、23年に日本でも公開されました。
演出は、緻密に人間の本質を描き出す演出力に定評のあるラディスラス・ショラー。
フランスオリジナル版も手掛け、19年に上演された『Le Père 父』、21年の『Le Fils 息子』で演出を務めたショラーは、家庭内で起こるメンタルな病の諸相に新たな視点で迫りシビアな現実を描きながらも、洗練されたスタイリッシュなステージを魅せます。
主演の息子ニコラ役を岡本圭人が務め、父ピエール役を岡本健一、『Le Père 父』『Le Fils 息子』『La Mère 母』家族三部作にアンヌ役として世界で初めて出演する若村麻由美、そのほか伊勢佳世、浜田信也、木山廉彬といった日本演劇界きっての実力派キャストが結集し、2つの劇場で2作品を同時に上演。
初日前会見には、演出のラディスラス・ショラー、岡本圭人、岡本健一、若村麻由美が登壇し、本作への意気込みを語りました。
開幕に向けての意気込み
ラディスラス・ショラー:数日前に『La Mère 母』の初日を迎えたばかりで、またこうして『Le Fils 息子』の初日を迎えるというのは非常に珍しくなかなか無いことで緊張しました。このチームの俳優たちを信じています。今日はゲネプロでしたので、これからまだ正確に決め込んでいきたいことなどありますが、今日の段階でストーリーテリングがしっかり出来た状態で演じてくれていたので、とても嬉しかったです。
岡本圭人:3年ぶりの再演で、本当に届けるべき物語なので、『Le Fils 息子』たくさんの方々に知っていただきたい。また、こうして再演という形でお客様に届けられるのがすごく楽しみです。今回は二作品同時上演ということで、『La Mère 母』と『Le Fils 息子』の両方を上演します。頑張ります。
若村麻由美:4月5日に『La Mère 母』の素晴らしい初日を開けることが出来てホッとしていましたが、また明日も『Le Fils 息子』で初日を迎えます。そして4月10日にいよいよ二作品同時上演ということで、生まれて初めての経験ですが、心臓が飛び出るような緊張感とプレッシャーと、そしてときめきの中で毎日を過ごせることは、役者としてすごく恵まれた環境に居るんだなと感じています。
岡本健一:何ヶ月もかけて稽古をして来たのを、やっと明日お客さんに届けられるということで。劇場に来てもらえれば、この物語の素晴らしさや大切さを感じていただけると思います。劇場で体感してほしいです。
3年ぶりの上演となりますが、稽古を進めていく中で初演と違うと感じた点は?
ラディスラス・ショラー:違いは3年という時が流れたことで、私も俳優の皆さんもですが、人間は時間が経つと感じ方が変わると思うんです。考え方や感受性が変わっていることによって、演出に多少違いを生んだところはあると思います。今回、二作品同時上演ということで、このふたつが鏡合わせのような作品になっているので、お互いの作品に影響を与え合っていると感じています。
岡本圭人:3年前は自分が初舞台で、そこからいろんな舞台で経験させていただいて、こうしてまたニコラを演じられることで原点に戻ったように感じました。
1番の違いは、同時上演というところです。『La Mère 母』と『Le Fils 息子』で、名前は同じニコラですが、それぞれ違うニコラを演じるんです。それがまた新しいですし、『母』をやっている内に『息子』のニコラも成長していく、そんな相乗効果があることを稽古を通して発見出来ました。そしてお客様が両方観ることによって、3年前にご覧になった人の感じ方も多分変わるんじゃないかな。
若村麻由美:3年前もすごく良いカンパニーでしたが、3年の時を経て再会した時のチームワークの良さや、役者として信頼し合えることが本当に幸せなことだなと。今回は家族三部作の最後になります。『母』との同時上演ですごく大変ですが、息子も夫も支えてくれて、そこでまた信頼関係が深まって、『息子』をやる時に、家族の距離感が自然と培われたと感じています。
岡本健一:3年前は圭人が初舞台だったので、こうして再会したらもう別の次元へと、かなり成長していて。子供の成長って早いなと思いました。大人も同じように成長していかないといけないと思いますし、この3年で世界的にも様々なことがあり、より家族のことを世界中が考えるようになったと感じています。これからを担う若者たちにどうやって大人が対応していくか、そこがこの作品ですごく大事な部分じゃないかなと。この作品から学んで、気付いてもらえたら嬉しいです。
ご覧になる方へメッセージ
岡本圭人:この作品は自分にとっても特別で。この3年間で成長した姿を、まずキャストに見せられたらなと思っていたのですが、いざ稽古が始まるとそんなことを考える時間もなくて。なので、そうした部分もお客さんに色々感じていただきたいです。
『Le Fils 息子』は、生きるか死ぬかがテーマになっていて、生きていれば誰でもそうしたことを考えたことがあると思うんです。なので、この作品を上演することで、生きることの大切さを知っていただいて、考えてもらえたら嬉しいです。
ストーリー
両親の離婚後、学校にも登校せず一日中独り行くあてもなく過ごしていたニコラは、とうとう学校を退学になってしまう。
そんなニコラの様子を聞いた父親ピエールは、離婚・再婚後、初めて息子と正面から向き合おうとする。
生活環境を変えることが、唯一自分を救う方法だと思えたニコラは、父親と再婚相手、そして年の離れた小さな弟と一緒に暮らしはじめるのだが、そこでも自分の居場所を見つけられずにいた。
公演概要
『La Mère 母』4/5~29 シアターイースト
出演:若村麻由美 岡本圭人 伊勢佳世 岡本健一
『Le Fils 息子』4/9~30 シアターウエスト
出演:岡本圭人 若村麻由美 伊勢佳世 浜田信也 木山廉彬 岡本健一
作:フロリアン・ゼレール
翻訳:齋藤敦子
演出:ラディスラス・ショラー
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
後援:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本
企画制作:東京芸術劇場
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