浦沢直樹

【インタビュー】『浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる -大阪の巻-』浦沢直樹スペシャルインタビュー

浦沢直樹展

開催のきっかけは、たまたま。
『地上最大の手塚治虫展』が結んだ縁

――今回の『浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる -大阪の巻-』は1月の世田谷文学館での『浦沢直樹展』に続き今回の大阪の展示ということになりますね。この『描いて描いて描きまくる』をやることになったきっかけというのは?

浦沢:本当に、たまたまなんですよ。
以前、世田谷文学館で手塚治虫先生の企画展『地上最大の手塚治虫展』がありましたよね。その内覧会のご招待をいただいていたんですが、ちょっと行く時間が取れなかったんです。そうしたらしばらくして放送作家の倉本美津留さんから、「あれ行ったか!」っていうメールが来たんで、行ってないんですって返したら「あれは見たほうがいい!」っていうんですよ。じゃあ行こうかなって思ってるうちに、最終日のもう夕方になってて。最終日なので展示は5時半ぐらいでしまっちゃう。それで慌てて車で向かったら、途中の踏切で遮断機が下りてしまって、こりゃ間に合わないぞ……となって。
しょうがないんで文学館に電話して「浦沢と申します。途中の踏切で捕まっていまして閉館時間ギリギリになっちゃうかもしれませんが。ちょっと開けておいていていただけると助かるんですが……」「あーもう喜んで」となって、到着したら文学館の方がみんなそろって待っていらっしゃって。「ほんと申し訳ございません」っていう形で見させていただいて。本当に素晴らしい展示だったんです。それで見終わった後に「浦沢さんもここでやりませんか」って声をかけられたんです。それがきっかけです。だから手塚治虫先生とのご縁はありましたが、たまたま流れでやることになったんですよ。

――じゃあそこから資料を掘り起こして掘り起こして……。

浦沢:やるんだったら、何をどう展示しようって考えましたね。

――今回の展示で特にすばらしいのは、見開きで1冊分の原画が展示されていることで、あれでコマの濃淡や流れが一覧できるのが本当にすばらしいなと思います。私が漫画教育の現場にもいるというのもあるんですが、やっぱり漫画を書こうと思う人間にとって、並べて見てみるのは大切だなと。並んでるのをきっちり見て「ああこういうリズムで作ってるんだ」というのがわかるのがすばらしいなと思いました。
特に、漫画家志望者は必見だなと思いますね。

浦沢:クライマックスだけ見るとわからないことが、そこに至る10ページを見る事でわかってくる。これが大事なことなんですよ。
描くときの最初は、思いついたクライマックスを描きたくてずっと描いていくんだけど、描き上がってみるとクライマックスの部分はホントに少しだけだったりするんですね。後から、自分はそこまでの流れが描きたかったんだ、ということがわかったりするんです。

――そこの流れが物語になっていくんですね。

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