【レポート】舞台版『侯爵令嬢は手駒を演じる』
舞台セットはシンプル、冒頭にジュリアンナが登場し「私はジュリアンナ・ルイスに生まれたくなかった!」と言い放つ。それから場面が変わり、カフェのシーンからオープニングという趣向。国がふたつに分裂、どっちが国の中心になるのか、騙し騙され、思惑と陰謀と罠が渦を巻く。ジュリアンナは命がけで王都教会に潜入するが、それこそ誰も信じることの出来ない場所。ここでジュリアンナは用心深く探りを入れるのだが……。
思わぬ人間関係やどんでん返し、原作のパワーもあり、脚本もしっかりしており、クローズアップしているところ、はしょるところのメリハリが効いて観やすい。およそ100分強の1幕ものだが、スピーディーに展開、キャラクター全てに見せ場があり、みんな個性的かつ色々と“訳あり”で、彼らのバックボーンも見逃せない。伏線が張り巡らされており、その全てが結末に向かって突き進んでいく。俺様王子のエドワード、演技力と度胸抜群のジュリアンナ他、どのキャラクターにも見せ場があり、生き生きしている。時折、ジュリアンナの“心の声”が吹き出しでスクリーンに映し出されるのが、なんともコミカルな印象。ラスト近くのアクションシーンはとにかく迫力満点、侍女のマリー演じる小玉百夏の身体能力の高さ!難しいアクションを一分の隙もなくこなす。また、門番のサムもめっぽう強く、縦横無尽に駆け回る。原作を知っていなくても十分楽しい。結末シーンはちょっとほのぼの、台詞もなかなか洒落が効いており、しっかりとしたウエルメイドな作品であった。
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