【レポート】ミュージカル「ヘタリア〜in the new world〜」
現在があるのは歴史の積み重ねであるが、これは運命なのか、どうにも抗えないのか、日本は「天は全てを司る」と言い、それは中国に教えてもらったと語る。中国の周の時代、天はすべての神の上に立つ人格神であり、自然界・人間界を支配するものであり、春秋戦国時代、諸子百家の儒家や道家は、次第に天を、自然を司る法則と捉えるようになった。この考え方は墨家思想や道教の神々に引き継がれて宗教という形で存続している。日本は「そして負けた」と言い「星に願いを」と言う。しかし「星に願うだけでなく、私は私自身で」とも言う。争いは運命なのか、抗えないのか、永遠の課題だ。キービジュアルでは満開の桜をバックに各キャラクターが笑みを浮かべている。サブタイトルの“in the new world”も意味深だ。テーマは“成長”だそうだが、成長には終着駅などはないのだ。「いつか桜の木の下で世界会議をしよう」と言う陽気なイタリア、それは夢物語なのか……世界が平和でありたいというのは人類の共通の想いだ。もちろん、小ネタも健在でアメリカとロシアがドイツの手を引っぱり、中央でドイツが限界まで“手足を伸ばされて”いるところはビジュアル的にもわかりやすいし、本に描かれている絵や写真、特に焼け野原の写真は衝撃的で、その写真を背景にコメディ、こういったシーンは見た目にはシニカルだ。
舞台版のシリーズはここで終わりとなり、キャストは“卒業”ということになる。一通りの“本編”が終わったところで例の歌「まる描いて地球」を全キャストが歌い、激しいダンスを踊っていたアンサンブルのメンバーも一緒に大合唱で客席で歌うもOK。ところどころで万国旗が天井から降りてくるが、ここはロビーで販売している旗を振ってOKな場面、楽しく参加したい。
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