江戸川乱歩没後60周年記念作品「一人二役」を原案にした「3つのグノシエンヌ」タイトルに込められた想いを明かす、公開記念舞台挨拶オフィシャルレポートが到着！

2025.10.06

江戸川乱歩没後60周年記念作品『RAMPO WORLD』と題して乱歩の作品を原案に設定を現代に変え、オリジナル解釈を加えた『3つのグノシエンヌ』（10月3日(金)公開）、『蟲』（10月17日(金)公開）、『白昼夢』（10月31日(金)公開）がシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか順次公開。

10月3日(金)より公開となった「3つのグノシエンヌ」は、4日(土)にシネマート新宿、池袋シネマ・ロサの2か所で舞台挨拶を実施。

シネマート新宿では、映画を観終わったばかりのお客さまを前に、松田凌、安野澄、岩男海史、前迫莉亜、ウエダアツシ監督が登壇し、初日を迎えての気持ちや撮影中を振り返っての想いなどを語りました。 

まず、初日を迎えた今の気持ちを聞くと、松田は「撮影は去年になります。短い期間での撮影でしたが、刹那的なものを持ちながら、撮影させていただきました。昨日初日を迎えて、この作品が、どのように皆さまの目と心に映るのか楽しみです。観ていただいた皆さまの感想を、いろいろな方に伝えていっていただけたら幸いです。そして、監督！編集などもありがとうございます！今は公開できたことが本当に嬉しいです！」と監督への感謝の気持ちも伝えました。続いて安野は「約一年前に撮影をしてから、この「３つのグノシエンヌ」が、公開に至るまでずっと私の中で作品が続いているような感覚があって、本当にワクワクしていました。一年間ずっと今か今かと待っていたので、本当にやっとという気持ちです。素直に嬉しいです」と公開の喜びを明かしました。岩男は「これはエゴサしたい作品がきたかという感じです！9月の先行上映回の感想で、作品の内容的に観るのがきつかったというコメントもあったりしましたが、そういうのも含めて、結構ハードで日常に迫る作品だなと思うので、どんな感想が出てくるのかがとても楽しみです。エゴサーチしてますので、僕には届きます！」とエゴサーチをしていることをアピールし観客にコメントを呼び掛けました。前迫は「私も、一年間ずっとこの作品のことを考えていて、やっとこの日が来たなという思いです。新しいことに挑戦した作品でもあるので、お客さまからの反応にすごくドキドキしています。まだ私はエゴサーチしていないので(笑)、皆さまの感想を楽しみにしています」と今の気持ちを伝えました。

ウエダ監督は「無事に初日迎えられて、ほっとしております。できれば僕は完成したらすぐにでも(観客に作品を)観ていただきたいのですが、公開するまで、どうしても半年だったり一年だったりと時間がかかってしまうので、いま何事もなく、ここに４人のキャストと一緒に登壇できて、お客さまにも観ていただけることが嬉しいなと思っています」と無事公開できたことを噛み締めたコメントをしました。

最初に台本を読んだ時の感想や役が決まった時の気持ちを聞かれると、松田は「率直に俳優としてはやっぱり嬉しかったです。(前迫)莉亜ちゃんもお話されていたように、自分にとって新しい挑戦なのかはわからないですが、西哲郎は演じさせていただけるのがありがたいなと思うような役どころでした。江戸川乱歩が生んだ「一人二役」という原案をもとに作られた作品で監督の思いもあって、音楽も皆さんが耳にしたことがある曲かと思いますが、エリック・サティが作曲した「グノシエンヌ」なので、それらの中にもいろいろ散りばめられたこの作品に通ずる何かがあると思います。そういったものを俳優として、どう体現できるのかって考えていました。役柄が役柄なので、嫌われたら大の字だなというぐらいの感じで、演じさせていただきました」と役への気持ちを明かしました。

安野は「私にとっては初めて濡れ場もあったので、覚悟を決めてやろうって思っていました。ウエダ監督とは、いつかご一緒したいなと思っていたので、それも含めて、今自分ができることを最大限にやろうと、本当に腹を括って臨みました」と覚悟をもって挑んだ作品であったことを明かしました。

岩男は「二役最高でした！めっちゃ楽しかったです！」と率直な感想を伝えてから「複雑で難しいですが、一人で二役演じるのでどこまで演じ分けるのかなとか、(役の中で)この関係性はどうしようかなと思ったりしていました。最初の衣装合わせで、ロン毛でいこうかなとか思って、そこから髪を整えたりしていって、役と一緒に時間と体験を経て悠介と淳平を作っていったのが楽しかったです。撮影期間は短かったですが、濃密でした」と語りました。前迫は「私は「RAMPO WORLD」の「白昼夢」(１０月１７日公開)のオーディションを受けたときに、その場にウエダ監督もいらっしゃってお声掛けいただきました。この(前迫が演じた)茉莉を見つけていただいたっていう感覚になりました。茉莉ちゃんはすごくマイペースなのですが、芯があって真っすぐで、私と何か近い部分があったので、(演じられることが)嬉しかったです」と自身と役に似ている部分がある事を明かしながら振り返りました。

作品作りや役作りの中でこだわった点を１つ挙げるとするならと質問すると、松田は答えるのが難しいとコメントしながら「哲郎は、こういう男だというところを崩さなかった」と一言で伝えると、岩男が「僕は、(松田)凌との関係性にこだわりました。撮影期間が短いので俳優同士の心の距離感がどうしてもわかる人には分かってしまうと思うので、遠慮のようなものは、この役の関係性上、絶対したくないなと思って、最初からたくさん凌にアタックしました」とコメンとすると、安野も「もう本当にずっと(岩男さんが)松田さんの話しかしなかった！少し嫉妬するぐらいに。今から私達のシーンなのに。もう松田凌がすごかったんだよ！って話をずっとされていました(笑)」と撮影裏話も明かされると、松田が「僕からしたら皆さんがすごく素敵です。江戸川乱歩が生んだ世界は、虚構ではない何か偶像みたいなものと、リアリティをもとにした作品だと思っていて、お芝居だからとか色々なことを考えすぎないようにしました。作中の一人二役は自分の奥様を自分の後輩に、自分は別の女性と遊んでいる話なので、僕は現実でも起こると思っています。嘘のように思えるけど、事実は小説より奇なりって言葉もあるので、そういうことにこだわったかもしれないです」と改めてこだわった箇所を語りました。

最後に一人ずつ、ご挨拶。

ウエダ監督は「この４人の団結力を見て、本当にこの４人で良かったなと思っています。一緒に映画を作ったという実感が僕の中にはあって、とても愛着がある作品になりました。皆さんの心の中でも、長く可愛がっていただけるような作品になっていればいいなと思っています。感想などSNSで書いていただけましたら、僕も全て目を通させていただきますのでよろしくお願いします」
前迫は「私も、このほぼ同世代の４人のキャストと一緒に作品を作り上げることができて良かったなと心から思っています。ウエダ監督が愛着がある作品って言ってくださったのが、すごく嬉しくて、これから落ち込んだり何かあった時に作品を観返して勇気をもらえたらなと思いました。皆さまにも何回でも観ていただけたら嬉しいです」
岩男は「話が尽きないぐらい思い入れのある作品なので、是非これからも、何度でも観て欲しいです。そして、もっとこの輪が広がってくれたらいいなと思っています。本日はありがとうございました。」とシネマ・ロサでの舞台挨拶もアピールしながらコメント。
安野は「私は既に、この作品を2回観ていて2回目に観ても、やっぱりこの作品、最高！みたいに感じました。改めて観ると気付くシーンもたくさんあって、何回でもリピートできる作品です。また劇場に来ていただけたら嬉しいです。いろいろな人に知っていただいて、「３つのグノシエンヌ」の大きな輪が広がっていくといいなと思っています」
松田は「皆様、本日はありがとうございます。昨今、サブスクやいろいろなエンターテイメントがある中で、映画館に来てくださって、この作品を選んでくださるのは、これ以上に僕たちにとって嬉しいことはないです。僕自身、監督に選んでもらって、選ばれた４人がこの作品の役にそれぞれ当てはまったということが、恐らくしっかりと作品を埋めることができた一つの理由でもあるなと思っています。実は、僕クランクアップした日に、一番最後に撮ったシーンの後、（撮影が）楽しすぎて泣いちゃったんです。涙が止まなくなってしまって、でもその時に今までよりもっと映画が好きになったことに気付きました。だから、映画に携われて映画と言う作品を産むことが、自分もその中の一員になれたことが、とても嬉しかったです。「ＲＡＭＰＯ WORLD」は「蟲」、そして「白昼夢」と作品に繋がっていきます。３作品に共通性など何かが繋がっていくものではないですが、乱歩が生み出したそれぞれの世界を皆さんに楽しんで欲しいと思っています。それが、江戸川乱歩とサティの「グノシエンヌ」にも、この作品がとにかく広がることが大きな意味を持っていると思います。そのきっかけになれば嬉しいです。皆さんも一緒に盛り上げてくださったら嬉しいです。本日はありがとうございました」と語り、会場からも暖かい拍手の中、シネマート新宿での舞台挨拶は幕を下ろしました。

続いて、池袋シネマ・ロサで行われた上映前舞台挨拶には安野、岩男、前迫、ウエダ監督が登壇し、シネマート新宿に続いて作品の魅力をアピールしました。

その中で、ウエダ監督より完成披露上映のあとに、感想をＳＮＳで見ていたら「本当によくご覧になられていて、１回しか上映していないのに詳しく感想を書いていただいていて、“グノシエンヌ”には“気付き”という意味がありそれでタイトルをつけたのですが、まだそれも公表していなかった中で、それも調べて映画の中の３つの気付きって何だろうって考察をされていたので、非常に嬉しかったです」とタイトルに込められた想いも明かされました。

岩男から松田との裏話として「凌は本当に(役に)入り込むタイプで、初めましての時から一瞬で同い年でもあったのでわかるものがあり、やり合うシーンでも気を使ってほしくないと思っていたら、全くそんな心配は必要はなかったです」と語り、さらに、「凌が向こうから走ってくるシーンがあって、その道は一般の通行人の方もいて、雨も降ってて時間があまりなかったので、現場も慌ただしくなっていたのですが、なんかチラチラしている人影みたいなものがあって、なんだあれは？ってなったら、役に入り込んでヘドバンのようなことをしている凌がいたんです。今からこいつとやり合うシーンがあるんだと思ったらヤバいって思いました。目もバキバキで泣いてるんですよ。それで、凌の頭が画面に入り込んで撮影を止めるという、そういう人でした」と笑いを取りながらお話されました。

どのシーンのことかは、ぜひ劇場でご確認ください。

追加舞台挨拶決定

池袋シネマ・ロサにて松田凌とウエダアツシ監督の追加舞台挨拶が決定。

日時：10月13日(月・祝) 9:45の回(上映後)
登壇者(予定)：松田凌、ウエダアツシ監督

チケットの販売方法等詳細はこちらでご確認ください。
https://cinemarosa.net/news/3gnossiennes_event/

江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」作品情報

本格推理小説や怪奇・幻想小説の祖として後世に名を残した作家・江戸川乱歩。数々の推理小説を世に送り出す一方で、「人間椅子」「鏡地獄」など、怪奇、妄想、フェティシズム、狂気を滲ませた変格ものと称される作品も多く執筆している。今年没後 60 年を迎える江戸川乱歩の 3 作品を、「RAMPO WORLD」と題して長編映画化。晩秋の夜に、妖しくも美しい乱歩の世界へと誘う―。

公式X：＠RAMPOWORLD https://x.com/RAMPOWORLD
公式Instagram：@rampoworld https://www.instagram.com/rampoworld/

『3つのグノシエンヌ』
2025年10月3日（金）シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ他ロードショー

監督・脚本・編集：ウエダアツシ
出演：松田凌安野澄岩男海史前迫莉亜
岡本照磨四家光葵月石しのぶ富樫明佐田川舞
原案：「一人二役」江戸川乱歩

＜STORY＞
小劇場の売れない役者・哲郎と、教師として働く妻・晴との仲は冷え切っていた。愛人の茉莉との逢瀬も、哲郎の欲望を満たすことは無かった。刺激に飢えた哲郎は、新たな舞台の脚本を進める中で、後輩役者の悠介にある話を持ち掛ける。それは、舞台の主役に抜擢することと引き換えに、悠介が架空の人物に成りすまし、晴を口説き落とすというものだった。哲郎はその様子を脚本のネタにしようとしていた。最初は気が進まなかった悠介だったが、晴と触れ合うにつれて芝居と現実の狭間で心が揺れ動いていく。一方で哲郎は、自分には見せない晴の素顔を見て激しく動揺するが―。

HP：gnossiennes-movie.com

『蟲』
2025年10月17日（金）シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ他ロードショー

監督・脚本：平波亘
出演：平埜生成佐藤里菜木口健太北原帆夏／山田キヌヲ
細川佳央橋野純平中山求一郎
原案：「蟲」江戸川乱歩

＜STORY＞
映画監督の柾木は、親の遺産を食い潰しながら引きこもり続けて 10 年になる。極端に人との接触を嫌う柾木を気に掛ける大学時代からの友人・池内は、刺激を与えようと小劇場の舞台へと連れ出すが、柾木は居酒屋で酒をあおりながら厳しい論評を繰り返すばかりだった。しかし、そこに出演女優の芙蓉が現れると、その反応が一変する。柾木の演技論を熱心に聞く芙蓉に心を動かされ、創作意欲が湧き出してきた柾木は、彼女を主役にした脚本を書き始める。その想いの空回りが、次第に狂気を孕んで、誰も想像だにしない歪んだ愛の物語を奏ではじめる―。

『白昼夢』
2025年10月31日（金）シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ他ロードショー

監督：山城達郎脚本：川﨑龍太
出演：見津賢上脇結友宮田佳典／ほたる川瀬陽太
佐々江天真月石しのぶ前田龍平田川恵美子小川沙羅小野寛幸大迫一平
原案：「白昼夢」「湖畔亭事件」江戸川乱歩

＜STORY＞
塾講師の渡会には、誰にも言えないある病癖があった。それは、人前で決して見せることのない顔を覗き見た時、この上ない快感を得るというものだった。そんな渡会が済むマンションの階下に、真柄夫妻が越して来たのは今年の春のことだった。
渡会は、夫妻が済む部屋に覗き穴を作り、その生活を覗き見るのが日課となっていた。妻の華恵は大学の准教授となり出世する一方で、夫の太郎は非常勤講師として働いているようだが、夫婦仲は悪くないようだった。しかしある日、渡会がいつものように階下の様子を覗き見る中で、華恵の知らなかった太郎の秘密が明らかになる―。

【配給】アルバトロス・フィルム