物語を彩るダンサーの存在は、この音楽劇の要で、モノトーンの衣装、五線譜と音符、楽曲に合わせて踊っているだけでなく、演奏者の感情的な部分や楽曲のテーマも表現しており、芸術面で昇華させている。またバトントワリングを取り入れて視覚的に変化を持たせ、衣装の袖部分を取り替えて羽ばたく鳥のように“飛翔”させたり、あるいは柔らかいシフォンのような袖でたおやかなイメージを持たせたりする。キャラクターを演じる俳優陣は演奏者に合わせての“エアー演奏”、あたかも弾いているように見せるのに成功しており、違和感はない。ラストのコンクール対決はキャスト、ダンサー、奏者、熱く、本当のコンクール対決の如く、客席はその勝負を見守る立場で、ある意味“観客参加型”である。
いわゆる“部活もの”で、大概の作品は運動部、視覚的にエンターテイメント性を出しやすいが、こういった題材は演奏の問題もあり、難しい部分も多いが、そういったネガティブな条件をプラスに転じさせ、舞台化を成功に導いている。息の長いシリーズになって欲しい。