■村上虹郎(ナオヤ役)
稽古はじっくりやらせて頂いたのですが、意外とあっという間でした。後半こたえましたけど(笑) この作品は4幕あって、部分的な稽古よりも通して演じた方がしっくりきました。繰り返し稽古をする中でフラストレーションが溜まっていくんですね。それをどういう方向に放出していくか、むしろ溜めたままの方がセリフが生きていくのか迷っていました。どこまで意図した演出だったのかわからないですけどね(笑)
今の渋谷でシブヤの話をすることが出来る事に意味があると思います。この劇場に集まってこの瞬間を共有して欲しいです。楽しんでください。
■小泉今日子(マリー役)
12年前の初演と同じ役を演じさせていただきます。あの頃よりもどこかが深くなっている気もしますが、自分では自覚はありません(笑) 12年前と変わったのは渋谷という街かなと思います。当時のセンター街にはギャル風の若者が大勢いましたが、今は外国の方がすごく多くて。この作品を演じていると、今の渋谷もちゃんと感じられ、稽古をしていて楽しかったです。村上君とは幼少の頃以来会っていなくて、突然青年になった村上君と再会して一緒に舞台を作れる事が奇跡のようで、わくわくしました。厳しい稽古も耐え抜いて、主役として男らしさも出ていて、役者としてこれからが楽しみです。
■岩松了(作・演出・出演)
初演の時は作家としての関わりで、一観客として舞台を見ましたが、改めて読み直したら難しい戯曲だなと感じました(笑) 稽古で役者さんが動き出すといろいろ分かることが多く、楽しんで演出していました。この本を書くにあたって蜷川さんと打ち合わせをしたんですが、蜷川さんがチェルノブイリの写真集を出してきて「こういゆうのどうかな」とシュチュエーションの話をしたのを覚えています。ナオヤの配役は悩み続けていましたが、最後に村上虹郎という役者と会ってピンときて、小泉さんにも相談して、ぴったりじゃないかと即決しました。