アニメ・コミック原作の舞台作品が多く上演されている昨今ではあるが、オリジナル作品ならではの展開として、 ドラマから舞台へ繋がる企画、 10月に4週連続で関東一帯・地上波の深夜30分のプロローグとなるドラマ『夜カフェ』が放送されたが、その数年後の物語が舞台に繋がる。 なかなか見ない試みだ。
物語は全てカフェ「パラダイス」で繰り広げられる。古い店なので常連さんもいるし、この地域管轄の警官も何かにつけて訪れる。気さくな店主、どこにでもありそうな、ちょっとレトロなカフェだ。店主の夫は他界したが、その顔写真の眼差しは優しくあたかも店を見守っているようにも感じる。決して広くはない店内はアットホームな空気。店主、その子供達、そしてここを稽古場にしている若者達等、皆、それぞれに何かを背負っている。その想いがカフェを舞台に交錯する。さしずめ、ここは「人間交差点」の様相で、訪れては去り、またやって来る。ちょっとした誤解や思い違いや反発、ざわざわと心が騒ぐ。そんな心の機微をすくいとった物語、どこにでもいるような登場人物たち、やがてささやかな夢や希望の光を見つけていく。