原作:東野圭吾『手紙』(文春文庫刊)
脚本・作詞:高橋知伽江
演出:藤田俊太郎
作曲・音楽監督・作詞:深沢桂子
★大ベストセラー『手紙』をミュージカル化
東野圭吾作『手紙』は 2003 年に出版されて直木賞候補作となり、2006 年に映画化され、共に大ヒット となった著者の代表作の一つである。弟のために強盗殺人をおかして服役中の兄・剛志と、その弟・直 貴が交わす“手紙”が作品の中心となっている。東野作品の主流であるミステリーでもなければ、エン ターテイメント小説でもない。深いテーマを内包した感動作である。
このミュージカルは、弟が次々と経験する差別を“横糸”に、兄がひたすら弟を想う手紙を“縦糸” にして構成される。離れた場所にいても、二人の想いと苦しみは、ときにデュエットという形で表現さ れることもあり、それぞれの慟哭がソロになることもある。
兄弟二人の感情――寄り添い、すれ違い、もつれ、反発し、一つにからむ感情――を言葉以上に雄弁 に語ることができるのは音楽であり、この普遍的なテーマをより多くの人の心に届けられるのは歌であ ると確信し、あえてミュージカルとして挑む。
オリジナル・ミュージカルをすでに何作も共に創ってき脚本の高橋知伽江と作曲の深沢桂子。『ビュー ティフルゲーム』『人魚姫』『ジャージー・ボーイズ』と立て続けに話題作を生み出している演出の藤田 俊太郎。2016 年 1 月~2 月に東京:新国立劇場(小劇場)、神戸:新神戸オリエンタル劇場、大阪:枚方 市市民会館(大ホール)とまったくサイズの違う劇場にて上演。
東野圭吾原作の『手紙』をミュージカル化。今回も斬新に【再演】ではなく、新たに【2017 年版】と して果敢に挑む。
★シノプシス
両親のいない剛志と直貴の兄弟は、お互いに助け合って生きてきた。弟のことを思うあまり剛志は弟 の学費ほしさで空き巣に入り、たまたま見つかったために殺人までおかしてしまう。
直貴は「人殺しの弟」という烙印を押され、日常の中で冷酷な差別に遭い、夢や希望を失っていく。 一方、服役している剛志は、たった一人の弟への想いをせつないまでに純粋に手紙に綴っていく。そ
の手紙が弟を追いつめているとも知らずに…。 世間の差別が自分だけではなく妻や娘にまで及んだとき、直貴は兄を切り捨てる決心をする。弟から
絶縁を言い渡された剛志。「自分は手紙など書くべきではなかった」と気づくと同時に、服役しただけで は償いになっていなかった現実に直面する…。
-償い、赦し、家族の絆、差別-。 誰にとっても他人事ではない、日常の中で普通に起きる現代の多くのテーマを問いかけるドラマであ
る。