イギリスを代表する喜劇作家アラン・エイクボーン、日本でも『コミック・ポテンシャル』『ヒーロー』『こっちの身にもなってよ』等、多くの作品が上演されている。今回上演される『扉の向こう側』(英題“Communicating Doors”)は、1994年に執筆され、1995年にロンドンにて初演、その後1998年にアメリカ・ニューヨークで上演、すでに日本でも何度か上演されている。ホテルのスイートルームの“コネクティングドアー”(隣室に繋がる二重扉)を使い、現在から過去へいくつかの時代をタイムワープする、ドタバタ・サスペンス・コメディー。
今回の上演では、板垣恭一が演出をする。そして、壮一帆、紺野まひる、岸祐二、泉見洋平、吉原光夫、一路真輝といった、まさに今のミュージカル界を牽引する華やかなキャストが集結。女優陣は、元宝塚歌劇団・雪組の歴代男役・娘役トップスターが集合、面白おかしく、そして荒唐無稽な物語が賑やかに展開されること、うけあい。
歌無しの完全なストレートプレイ、この作品の面白さや見どころを演出家の板垣恭一さんから特別にコメントを頂きました。
板垣:Wikipediaによると『笑劇』とは、「観客を楽しませることを目的とした演劇または映画のために書かれた『喜劇』の一形態」だそうです。こういった分類があるということは「観客を楽しませることを目的にしない」演劇や映画があるということなんでしょうね。僕はジャンルの違いをあまり気にしたことがありませんが、お客様を楽しませることに気持ちが行きがちなので「笑劇好き」な演出家ということになるのかもしれません。
板垣:普段ミュージカルを主戦場としてらっしゃる俳優たちが演じるストレートプレイというところでしょうか。ミュージカルとストレートプレイの違いのひとつは、「音」を作るのが音楽家なのか役者なのか、というところにあると思います。普段は「歌」で「音」を表現することが多い俳優のみなさんが、「台詞」のみで「音」を表現する様を見ていただけることは、大きな見どころのひとつだと思います。あと、カーテンコールまでご覧になっていただくと、ちょっとしたオマケが付いているかもしれません。大きな声では言えませんが、ちょっとしたオマケが……。はい。
板垣:とにかく軽い気持ちでお話に入っていただける物語です。途中から、サスペンスあり笑いありホラーありの展開になり、最後には現代を生きる我々へのメッセージまで詰まっていて盛りだくさんです。緻密に計算されたアトラクション・ライドに乗るような気持ちでお越しいただけますと幸いです。「あー面白かった」という感想を持っていただけるよう、そして観劇後の会話に花が咲くような作品になりますよう、稽古に励んでおります。
<あらすじ>
実業家リースはジェシカとルエラ・二人の妻を殺した過去を持つ。
と言っても、手を下したのは彼自身ではなく、彼の共同経営者のジュリアンであり、なぜか表沙汰にはならず、人生の成功者として日々を送っていた。
しかし、70歳になり死を意識し始めたリースは、過去の自分に自ら制裁を下すかの様に、自分とジュリアンの悪事を告白する文書を書く。その文書を法的に有効なものとする為には第三者の署名が必要だ。
そこでリースは、彼が滞在するホテルのスイートルームに娼婦・フィービーを呼んで署名させようとするが、それに気づいたジュリアンはフィービーの殺害も企てる。
身の危険を感じ、コネクティングドアーから隣の部屋に逃げ込むフィービー。ところがその扉の向こうは過去と現在を繋ぐ不思議な空間となっていたのだ。
そこでフィービーは、殺害された筈の二人の妻・ジェシカ、そしてルエラと出会う。
お互いの立場を何とか理解した3人の女たちは、自分たちの殺人事件を未然に防ごうと奮闘するが、その顛末は……。
【公演データ】
『扉の向こう側』
出演:壮 一帆(フィービー)、紺野まひる(ジェシカ)、岸 祐二(ジュリアン)、泉見洋平(ハロルド)、吉原光夫(リース) 一路真輝(ルエラ)
2016年11月11日(金)~13日(日)
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2016年11月16日(水)~11月23日(水・祝)
東京芸術劇場 プレイハウス
2016年11月28日(月)
青少年文化センター アートピアホール
作:アラン・エイクボーン
演出:板垣恭一
https://tobira-no-mukogawa.amebaownd.com/
■『扉の向こう側』過去リリース情報
・https://stagenews25.jp/?p=6981
・https://stagenews25.jp/?tag=扉の向こう側