【作•演出ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント】
昭和4年=世界大恐慌の年を描いた「東京月光魔曲」(2009)、昭和20年=敗戦の年を描いた「黴菌」(2010)に続く「昭和三部作」完結編の舞台として選んだのは、東京オリンピックを二年後に控えた昭和37年の新宿のはずれ。
建設されたはよいが、オープンにこぎつけられそうにない、あるレクリエーション施設。高度成長期で日本中が浮かれる中、どういうわけか時代の溝にはまってしまった一組の婚約中のカップルと、二人を取り巻く人々を描く群像劇になるでしょう。
シリーズのラストを飾るに相応しい……と気持ちよくいい放てるような分かり易い派手さには欠ける舞台かもしれません。
明示されないドラマにこそ豊かさがあると信じ、この手練れ揃いのキャストでのみ実現可能な、デリケートな会話劇を作るつもりです。
御期待戴きたい。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【ケラリーノ・サンドロヴィッチ プロフィール】
劇作家 演出家 映画監督 音楽家
1963年1月3日生まれ、東京都出身。1982年、ニューウェイブバンド・有頂天を結成。また自主レーベルであるナゴムレコードを立ち上げ、数多くのバンドのアルバムをリリースする。並行して1985年に劇団健康を旗揚げ、1993年にナイロン100℃を始動。1999年「フローズン・ビーチ」で第43回岸田國士戯曲賞を受賞、現在は同賞の選考委員を務める。
舞台活動では劇団公演に加え、KERA・MAPなどのユニットも主宰するほか、外部プロデュース公演への参加も多数。「かもめ」(13)を皮切りに、チェーホフ四大戯曲全四作品の演出に取り組んでいる。
映像活動では、自身の企画である「怪奇恋愛作戦」(シリーズ監督、脚本)が2015年1月クールテレビ東京系連続ドラマ(全12話)として放送された。
音楽活動では、2013年に鈴木慶一氏とのユニット『No Lie-sense』を結成。2015年には有頂天を再始動。各種ユニットによるライブ活動や新譜リ
リースも精力的に続行中。
2016年、KERA・MAP「グッドバイ」にて第23回読売演劇大賞最優秀作品賞及び優秀演出家賞、平成27年度芸術選奨 文部科学大臣賞を受賞。