【オフィシャルインタビュー】舞台『キスより素敵な手を繋ごう』キムラ真さん×中村誠治郎さん×小笠原健さん

記憶障害により一日しか記憶を保てなくなった刑事の裕樹。彼は一晩寝ると記憶がリセットされ、毎朝妻に一目惚れをする。

キムラ真率いる劇団ナイスコンプレックスが、『キスより素敵な手を繋ごう』をこの夏再演。2010年の誕生以来再演を重ねてきた同団唯一のオリジナルラブストーリーで、今回は東京公演に加え、作品初の地方公演となる福岡公演を果たします。

6月15日の開幕に先駆け、作演出のキムラ真さん、倉持裕樹役の中村誠治郎さん、木場敦士役の小笠原健さんに意気込みをお聞きしました。

最後に直筆サイン入りチェキのプレゼントもあるので、奮ってご応募ください!

キムラ真さん×中村誠治郎さん×小笠原健さん インタビュー

左から:小笠原健さん、中村誠治郎さん、キムラ真さん

一年ぶりに再演を迎えます。主演は昨年に引き続き中村誠治郎さん。稽古の手応えはいかがですか?

中村:前回あれほど稽古を重ねたはずなのに、“このセリフこういう意味だったのか!”と新たな発見があって、凄く面白いですね。といっても前回の芝居が嘘だったという訳ではなくて、台本と改めて向き合っていると、“こういう気持ちになる時もあるよな”とまた違う解釈に気付かされる。それを一刻も早くキムラさんに報告したくて、稽古場に行くとまず演出家席に向かいます(笑)。

キムラ:誠治郎さんは稽古場に来ると“キムラさん、もしかしたらこれこういうことですか? めっちゃ面白いですね!”とまず相談してくれるんです(笑)。作者としては、この作品のプラスの部分を見つけてくれたんだという喜びがあって。まだまだこの作品の可能性を掘り起こせるんだという嬉しさ、それを演者さんと共に見つける楽しさを味わっています。

中村:ただ僕自身は忘れていたけれど、前回と同じ質問をすることもままあって(笑)。“これこういうことですよね?”と聞いたら、“誠治郎さん去年も同じ質問してましたよ”と言われ、ホントすみませんとーー。二度目ではありますが、真っさらな気持ちで臨んでいます(笑)。

キムラ:いやいや、それも含めて嬉しいですよ(笑)。誠治郎さんはこの一年で凄く人間味が増しましたよね。もともと誠治郎さんの“漢感”に惹かれてオファーしたけれど、今年の誠治郎さんには力強さというよりも、どこか柔らかさを感じます。多分フリーになったことが大きいと思う。演者の立場だけでなく、違う視点で色々な人を見ることで変わった部分があるんじゃないかな。

中村:そう言われればそうかもしれません。以前は殺陣の振付にしても、しっかりやらなければという責任感が結果として厳しさに繋がっていた。でも自分で殺陣チームを作ったり、この一年色々な経験を経て変わった部分はあるかもしれないですね。

小笠原:僕が誠治郎君に初めて会ったのは5年くらい前。殺陣の振付をしてもらったけれど、言葉はキツイし、なんて厳しい先生なんだと思いましたね(笑)。それから年2本のペースで立て続けにお会いするようになって、どんどん好きになって。

中村:よく飲みに行ったよね。

小笠原:飲みの席で“誠治郎君って呼んでいいですか?”と聞いて、お許しをいただきました(笑)。

中村:そうだっけ? 最初から“君”だった気がするけど(笑)。

小笠原:昨年の公演で初めて誠治郎君のストレートプレイを観て、もう涙が止まりませんでした。“ずっと中村誠治郎は殺陣の人だと思っていたけれど、ちゃんとお芝居ができるんだ、勘違してました!”と本人に冗談半分で言って(笑)。でもそれくらい素敵だったんです。

中村:“失礼だな!”と言いつつ、めちゃくちゃ嬉しかったです。殺陣の人だと思われているのがずっとコンプレックスだったけど、噓のない言葉を伝えてくれて、僕自身大人になってもまだ成長できるんだなって思いましたね。

小笠原さんは今回初参加で、裕樹の娘・沙耶の彼氏の敦士役を演じます。

キムラ:この作品は12年前に生まれたけれど、敦士役が誕生したのが5年前の再演でした。そのとき僕の中であて書きしたのが小笠原健だったんです。

小笠原:おぉ、凄い! そうなんですね!

キムラ:自分がそれまで出会った中で、年下で男としてチャーミングな演者が小笠原健だった。ただオファーはしてもタイミングが合わず、今回ようやく敦士を演じてもらいます。

小笠原:敦士は沙耶と結婚させてほしいと挨拶に行くけれど、僕も昨年結婚したのであの感覚は凄くよくわかります。初めて相手の実家に行く時の緊張感、次第に相手の親と打ち解けていく感覚というのは実体験として知っているので、台本を読んでいると絵が浮かぶし、そこからアプローチできる部分はありますね。

キムラ:僕はプライベートの部分は抜きで純粋に演出家の視点で小笠原君を見ているけれど、あのシーンもの凄くいいですよ。これまで小笠原君が演じてきた役の中で一番いいと思います。

小笠原:本当ですか? うれしいです! 沙耶役の護あさなさんからまたいいパスが飛んでくるんですよね。彼女の演じる沙耶が情熱的で誠実だから、敦士もそれに見合う男でいないといけない。この人だから結婚を決めたんだ、という男性像を作れたらとーー。僕も誠治郎君と同じく“自分はこう感じたんですけどどうですか?”とキムラさんにバンバン聞いていて、だから演出家にとっては面倒臭いタイプだと思います(笑)。

キムラ:もともと僕は演者さんの良さを引き出すタイプの演出家になりたいという想いがあって。人間を育てるということ。それって無限大だし、それができたらきっと誰にも負けないはず。だから“こういう風にやってみませんか?”と演者さんがアプローチしてくれるのは凄く嬉しいですね。

裕樹は一日しか記憶が保てず、毎朝妻に一目惚れをする。その新鮮な感覚をどうキープしていくのでしょう。

中村:去年はリセットされる度同じ感覚で演じていたけど、今年はちょっと違って、相手のリアクションによってこちらもどんどん変わっています。裕樹にとっては初めましてでも、実際は初めて会った訳じゃない。だから相手の出方によって、裕樹の気持ちも変わると思うんです。

小笠原:記憶が1日しかもたないとしても、ロボットじゃないんだから気持ちはあるってことですよね。

中村:そうそう。玲子役の早野さんが毎回アプローチを変えてくるので、僕も自然と新鮮な感覚になるし、完全に信頼して背中を預けている感じ。最後のシーンを今回初めて稽古した時、キムラさんがファーストテイクをしようと言い出して。あの時の感覚ってある意味リアルだと思う。

キムラ:1年ぶりの稽古なのに、読み合わせもせずいきなり“じゃあ始めてください。詰まっても続けてください”と、最後まで演じてもらって(笑)。

中村:あの感覚は稽古を重ねると味わえないし、実はあれが一番良いかもしれない(笑)。やっぱり人間なので何回か繰り返すとどこかで慣れてしまう。かといってアプローチを変えて新鮮味を出すのは浅はかだと思うし、慣れとの闘いは常にありますね。

キムラ:繰り返し稽古をしてると何かを覚える作業というのは染み付いてしまうけど、それでも最初の感覚を大事にしたい。僕の演出はシンプルで、正直に本気で相手の言葉を聞くということ。この作品は特にそうで、初めて相手を見た時の感覚、初めて相手の声を聞いた時の感覚というものを大切にしていけたらと思っています。

今回は中村さん、早野さんの地元でもある福岡公演が予定されています。

キムラ:福岡公演では誠治郎さんと早野さんに地元の言葉で台詞を言ってもらいます。他にも九州出身の演者さんがいて、二人につられるようなこともあるかもしれない。僕も実際どうなるかわからなくて、凄く楽しみですね。

中村:地元に帰ると言葉も自然と変換されると思う。僕にとって博多弁の方がリアルではあるけれど、ちょっとこそばゆいというか……。

小笠原:福岡弁で告白する時ってどう言うんですか? やっぱり“好いとうばい”ですか?

中村:そうは言わないし、逆に恥ずかしい(笑)。付き合いが長くなると“好きくさ”って言ったりするけれど。地元にいた頃は、“お前のこと好きやけん、付き合ってくれんかいな”って告白してました(笑)。

小笠原:九州公演、楽しみですよね。ご家族は観に来ます?

中村:来てくれると思います。僕は特に親父に観て欲しいんですよね。親父は母ちゃんのことが大好きで、母ちゃんがいないと生きていけないくらい。母ちゃんに“生まれ変わっても俺と一緒になりたいやろ”って言ったら、“嫌よ”って言われて2週間くらい落ち込んでたと聞いて(笑)。きっと親父はこの作品を観たら凄く感動すると思うんです。

本番が間近に迫った今、作品にかける想いをお聞かせください。

小笠原:誠治郎君の主演としての居方がとても素敵で、僕は送りバントに徹して舞台を支えたい。誠治郎君と早野さんの2人のために全員が力を尽くせば、きっと素晴らしい作品になるはずだし、僕もその役に立てたらという気持ちでいます。

中村:嘘をつかずにやること、それが一番大事だと思っています。僕自身この作品が大好きで、みんなでいいものにしていきたい。とにかくこの作品を知ってほしいという願いがあって、ぜひ多くの方に劇場に観に来てもらえたら嬉しいです。

キムラ:50歳になった誠治郎さんの裕樹を観てみたい、それまでこの作品を続けていけたらと思っています。この作品の根幹に、年を取るって悪いことじゃないんだ、いくつになっても恋していいんだというテーマがあって、だから演者さんが年を重ねるほどまた作品も変わっていくと思う。僕も毎回稽古を観ながら涙していて、そういう意味では最初のお客さん。今回はどんな『キス』を観せてくれるんだろうと、ただただワクワクしています。

(取材:小野寺悦子、撮影:谷中理音)

キムラ真さん×中村誠治郎さん×小笠原健さんの直筆サイン入りチェキを抽選で3名様にプレゼント!
チェキの応募方法は2.5newsのTwitterをフォローし、対象ツイートをRTをするだけ!
応募締め切りは2022年6月16日(木)23時59分です!沢山のご応募お待ちしております!

※サイン入りチェキは当選者1名様につき1枚とし、TwitterのDMにて当選された方にのみ、ご連絡いたします。
※仕様上2.5newsのTwitterのアカウントをフォローして頂かない場合はDMが送れませんのでご注意ください。
※DM送信後は48時間以内にご連絡が無い場合、当選は無効といたします。

公演概要

ナイスコンプレックス N35 舞台『キスより素敵な手を繋ごう』

東京:2022年6月15日(水)〜6月19日(日)シアターサンモール
福岡:2022年6月26日(日)北九州芸術劇場(中劇場)

【キャスト】
中村誠治郎/早野実紗、護あさな、小笠原健、梅田悠、伊藤優衣、藤本結衣、山中健太、大神拓哉/七味まゆ味、林野健志/森山栄治

【スタッフ】
作・演出:キムラ真  ドラマトゥルク:大久保悠依  歌曲原案・歌唱:紅林里美
主催・企画制作:ナイスコンプレックス

【チケット】
全席指定、税込、前売当日共通
★U25 シート:2,500円(25歳〜16歳対象) ★B席:3,500円 ★A席:4,800円
★S席(お土産なし):6,500円 ★S席(お土産付き):8,000円
★Nシート:10,000円(前方席・特別お土産付き) ※前売のみ
★「これから」シート:1,000 円(15 歳以下又は 65 歳以上の方、グッズ券 1,000 円分付き)
※U25 シート、「これから」シートのご予約は劇団扱いのみ

公式HP http://naikon.jp/  
Twitter @gekidan_naikon

Rie Koike