2005年にカプコンよりリリースされた『戦国BASARA』シリーズ、初の舞台化は2009年、昨年は異なるゲームとのコラボ『戦国BASARA vs Devil May Cry』を上演、今回の舞台『戦国BASARA4 皇』は11作目にあたる。昨年から演出に宇治川まさなり氏を迎え、前シリーズのイメージを踏襲しつつ、新しい展開となる。宇治川まさなり氏はミュージカルからストレートプレイまで幅広く演出、コミック作品では舞台『銀河英雄伝説外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール篇』等を手掛けている。キャストは伊達政宗役の塩野瑛久が初役、また毛利元就役の小谷嘉一は、初演から同役を演じている。またゲスト出演として『戦国BASARA』10周年の記念テーマソング『時を超えて』を歌うSOLIDEMOよりゲストキャストとして2名(中山優貴、山口智也)が参加、役どころは長宗我部元親の親衛隊である。
ストーリーはオリジナルでゲームとは異なる。物語の冒頭で登場するは松永久秀。ゆっくり歩きながら不敵な笑いを浮かべる。それから、キャラクター登場、華やかなオープニング、各武将が次々と舞台に現れ、アクションを見せるが、ここはかなりのスピード感を持って展開する。ゲーム楽曲が流れ、観客の気分も高揚する場面である。プロジェクションマッピングで背景だけでなく、ゲームの技も表現、客席は一気に『戦国BASARA』の世界になる。それから物語が動き出す。千利休は二重人格、さしずめ”ジキルとハイド”で、戦いを嫌うワビ助、好戦的なサビ助という内面のキャラクターがあるが、寿里が鮮やかに切り替えて演じる。
メインストーリーは、いかにも”悪”な松永久秀と”正義”をふりかざす伊達政宗の”対比”、そこにちょっとしたサイドストーリーを織り交ぜる、といった構成。松永久秀は松田賢二が演じているが、腹黒さ満点で、己の欲望のためなら自分に付く者も翻弄する。松田のいかにもな悪ぶりが物語のアクセントに。伊達政宗役の塩野瑛久は初参加ながらも健闘し、殺陣、アクションに奮闘。真田幸村役の松村龍之介は、初役の頃と比較すると、だいぶ板についてこなれた感じが頼もしい印象を受けた。
殺陣、アクションは前回と比較するとフォーメーションに変化が見られた。アクションコーディネートは浅井星光で、前回の舞台『戦国BASARA vs Devil May Cry』から担当している。今回初参加のキャスト、前シリーズからのキャスト、新旧入り交じった俳優陣であるが、全体的に勢いのある舞台、大胆で華やかな”荒事”、これこそ 『戦国BASARA』の真骨頂、次回のシリーズは、どう工夫してくるのか、どんなストーリーなのか新しい『戦国BASARA』が観られそうだ。
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舞台 『戦国BASARA4 皇』
東京公演/2016年1月21日~1月31日 Zeepブルーシアター六本木
大阪公演/2016年2月5日~2月7日 サンケイホールブリーゼ
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取材・文/高 浩美