物語は夫人の屋敷の居間だけで繰り広げられる。夫人に関係のある人物が出入りする、という構成。居間の壁は舞台照明が当たって揺らめき、時折、映像で雨のしずくが映し出される。西ノルウェーの大きなフィヨルドに立つ屋敷、一年中雨か雪が降るうっとおしい気候で有名な場所である。他界した夫・アルヴィング大尉は世間的には立派であったが、実際の私生活は放蕩の限りを尽くしていた。マンデルス牧師は保険の相談で屋敷を訪れていたが、ふとしたことで夫人が自由思想に傾倒していることを知り、彼女を非難する。彼女は彼に夫について告白を始め、牧師はそのことにショックを受ける……。