基本的に舞台のしつらえは変わらないし、開幕前もいつもの歌が流れる。舞台『弱虫ペダル』が始まるといった雰囲気だ。まず、パズルライダーが出てきて中央の坂道を動かす。それから箱根学園の面々が登場する。まずはあのインターハイ3日目から始まる。強豪校・箱根学園、まさかの2位、世間的には“立派”な成績だが、王者・箱学にとっては屈辱的な順位だ。毎年恒例の箱根学園自転車競技部の3年生追い出し最終走行会(壮行ではない)のシーン、コンビニの駐車場が出発地点だ。ところで、この舞台には総北学園の手嶋純太 (鯨井康介)と青八木一(八島諒)がいる。本来、手嶋と青八木は登場しないが、そこは舞台版、彼らが出てくることによってより場面がわかりやすくなる。この走行会、実は下級生が上級生に挑む場でもある。泉田塔一郎(河原田巧也)は上級生たちに挑戦的な言葉を投げつける、「2位は最下位と同義です!」と。悔しさがにじむ言葉、ガチで上級生に挑み、そして超えようとする、そんな意気込みも感じさせる言葉だ。原作でも舞台でも、ここは“クローズアップ”、これこそが『弱虫ペダル』、箱根学園らしさだ。音楽、効果音、動く坂道、照明、俳優の激走、単純だが、ここに全てが詰まっている。もちろん、俳優陣は自分の役だけをやればいいのではないのは“お約束”、人間(東堂ファンの女子、一般人などなど)人間じゃないもの(自動販売機、ロッカー、ゴミ箱、果ては地面、風などなど)これが忙しいのだが、やってる方はどことなく楽しそうな雰囲気。特に泉田の筋肉は注目、泉田の右大胸筋・アンディは手嶋純太役の鯨井康介、左大胸筋・フランクは福富寿一役の村上渉、そして新たに登場する背筋のファビアンは葦木場拓斗役の東啓介が演じたが、ここはしっかり見ておきたいポイント。走行会、結果はコミックを読めばわかることであるが、3年生は下級生にバトンを渡し、下級生はきっちり受け取る。それから時は過ぎ、新入生が入ってくる、3年生は卒業し、新開隼人 (宮崎秋人)、福富寿一 (村上渉)共に明早大学に進学し、一緒に自転車競技部に入部、一方の荒北靖友 (木戸邑弥)は進学した洋南大学でも自転車競技部に入部、元・総北学園の金城とチームメイトになった。箱根学園には新開隼人 の弟・新開悠人(飯山裕太)が入部するが、何かにつけて兄・隼人のことが話題に、そして極めつけは“新開隼人の弟”という呼ばれ方、当然、本人は面白くない。部内は悠人を巡り、ぎくしゃくするが……。