人気舞台『人狼』が初の”外部出演”となる。しかもそこに掛け合わせるのは人気恋愛ドラマアプリ『天下統一恋の乱 Love Ballad』、人気作品同士のコラボレーション、進化し続けるライブ公演に新進気鋭の演劇集団、番町ボーイズ☆が挑戦する。舞台『人狼』の“生みの親”とも言えるプロデューサーの桜庭未那さんと演出家の佐藤徹也さんに舞台『人狼』のことや番町ボーイズ☆の面々等について語ってもらった。
佐藤:正直に“白状”しますと、やると決まった時は『人狼』の部分は桜庭さんが演出し、それ以外の部分は僕が演出するものだと思ってたんですね。ところが後で「両方、まとめて演出をしなければならない」っていうことがわかりまして(笑)、それで必死になって勉強を始め、まだまだ勉強中っていう状態です。そういう訳で僕は桜庭さんにお伺いしなきゃいけないことがたくさんあります。『人狼』はゲーム(原作)ですが、舞台化した場合、これは観る側、演じる側にとってかなり頭を使う要素が大きいですよね。”地アタマ”っていうんでしょうか、そういったものを取っ払って、先入観を持たずに来たお客様にわかりやすく、ゲーム要素を取り入れた舞台としてみせていくのが僕に課せられた使命かな?と思いますので、いかに解りやすく創っていくかっていうことを凄く考えている最中なんです。
佐藤:そうです。いろんな楽しみ方があって、お客さんも「あの人、人狼じゃないかな」って考えつつも、キャラクターの役割、役柄もありますよね。そこを考えながらも、処刑のシーンがあって、その結果、(自分が人狼と思ったキャラクターが)人狼じゃなかった時に、「え〜??」ってパニックみたいになる人もいる。そういう人達をもう一回、冷静にさせて“フラット”にさせる作業が相当難しいんだろうな(笑)とにかく台本がない訳ですから、ここは演者さんのスキルにかかってる。まあ、通常の舞台の演出では通用しない、役作りも含めた上で、俳優のトレーナーとして、僕がやらなきゃいけない、これは今までの僕がやってきた舞台とか映画とかの演出方法ではないな、と思っています。正直言うともの凄く勉強して、もの凄く緊張しております(笑)、不安でございます(笑)。
桜庭:ウチのほうでやってる本公演では、13人出てきて、13人が繰り広げる話で一本“芯”が通っていてレギュレーションも明確に出来ています。このレギュレーションは何年もかかって考えて作ったんですね。約2時間もののお芝居にした時に勝敗が偏ったりしない、いいバランスのレギュレーションに出来ているな、と思ってるんです。『人狼』ゲームを題材に、何かイベントとかお芝居やりたいって思っている方はこれを使いたくなると思うんです。私としてもいいシステムと認めてもらえているんだなっていう点では、よかったなと。そこに監修を入れることが出来れば、いろんな題材でいろんな演出家さんやいろんな他の要素や考えをお持ちの方が、更なる融合をしてくれるんじゃないかな?と思いましたし、この『人狼』を“解放したいな”と思いまして、“さて、きちんと解放するためには、どうしたらいいのかな?”って考えていたところに、ちょうどソニーミュージックさんの方から、今回“是非!”というお話を……“このシステム使ってお芝居をしたい”っていうお申し出をきちっと頂きました。こういったお話は実は初めてで、我々はとても感動しました。こんなに仁義を通して下さって、きちんとした手順を踏んで下さった。この見せるゲームとしての部分の訓練が大事だってことに気が付いていらっしゃる……これは真面目に取り組まなければいけない、と思いました。ゲームの児玉健先生を紹介したり、演出家さんときちんとお話をして、どこを大事にするか、していきたいか、その先程佐藤さんもおっしゃっていたように“何もわからないまま、何も知らずにきたお客様が、“ゲームわからないと面白くないのか、楽しめないのか”ってなっちゃうと、とても残念だと。何の情報もなく、来ても、たとえ、犯人がわからなくても、“楽しかったな”っていう時間に出来るようにするための話し合いをしっかりして作っていけたな、という気持ちで、外部公演としては初めてなので(笑)、これはいい形でスタート出来るんじゃないかなと思いました。
桜庭:そうですね、主催はこちら側、主導して稽古を進めていくのが私たちだったので。
桜庭:もう鍛えられた人達です(笑)
桜庭:はい。今から人狼ゲームに興味をお持ちの方に入って頂くには、今回のコラボレーションは凄くいい入り口だなって思っています。番町ボーイズ☆のメンバーも凄くゲームを好きになってくれたので嬉しいですね。
佐藤:僕はゲームとゲームで考えていくと、なおさら、悩んで、迷路に入っていっちゃう(笑)。ゲームのキャラクターを頂いて「ゲームの要素がある、ひとつの物語にする」っていう考え方ですね。ゲームとゲームだとお客さん側から観ると「どっちについていけばいいの?」になってしまうので、明確にゲーム要素としてのエンターテイメントは「人狼」寄りに作ります。基本的には『天下統一恋の乱 Love Ballad』のキャラクター、キャラクターにもいろいろ言葉遣いなどのレギュレーションがありますが、そういったものを明確に、忠実にまもっていかないと。あとは即興なんで、このスキルを俳優たちがどこまで上げることが出来るか、こちらはトレーナーとしてちゃんと演技をつけてあげられるのか、ですね。あとは、キャラクターがこの『人狼』ゲームに乗っかってくる、いうなればゲーム『天下統一恋の乱 Love Ballad』のキャラクターを『人狼』ゲームに牽引するのが僕の役目かな?と思っています。
佐藤:そうですね、舞台全般に言えることですが、大概は台本にのっとってやれますが、それらの作品とは違う、今回の『天下統一恋の乱 Love Ballad』は基本的に人狼ゲーム部分に台本はない、アドリブですから、それも“含めてこれでいいでしょうか”っていうお伺いを原作のボルテージさんに立てながら……全てのお客さんの全ての望みに答えられることがもちろん、ベストなんですけど、その中でももっともコアなファンの方々に対してちゃんとした形で演出、表現することが、出来ればとも思っています。
佐藤:そうですね。そこが2.5次元の一番難しいところだと思っています。