いつかの戦国の世、「伊那家」が「羽生家」によって滅ぼされ、伊那家を支える二将、シスイ(鷲尾昇)とサイガ(佐野大樹)が野に散って行くところから、全ては始まった。この二人を捕らえるよう命を受けたのが、 羽生家の次男、謀反の気があると噂されている羽生凌明(佐藤永典)。任務を遂行し、当主である兄の疑いを晴らそうと意気込む凌明は、先の戦いで捕らわれていたシスイの従者、ガラクシャ(土屋佑壱)に近付く……がだいたいのストーリーだ。
時代設定は“遠い未来”、「主君のため、家のため、己の誇りのため、サムライは戦う」と言う。戦う者の美学であるが、力の限り生きることもまた真実だ。戦いのシーン、最初からダイナミックな見せ場、弟が信じられない兄・羽生賢明(川上将大)、弟には求心力があると言い、恐れる兄。そして弟もそれに気づいていたのである。戦国の世、たとえ兄弟でも家督をめぐっての“下克上”、それは歴史を紐解けばわかる。生きていくことが大変な戦いの世を人間関係で見せる。また、それぞれに従者がおり、命をかけて主君を守る。羽生賢明の仕える紀野照光(鳥羽 潤)、ラスト近くの壮絶な場面は泣かせるし、羽生凌明につき従う橘(森山栄治)は寡黙で真面目だ。
しかし、そういったハードな場面ばかりではなく、随所に笑いを挟み込んで、緩急つける(そばを食べながら戦うシーンは必見!)。農民出身のトラジ(藤原一裕[ライセンス])は、さしずめコメディリリーフといったところで芸達者。