「ROSE GUNS DAYS」は同人サークル『07th Expansion』によるコンピューターゲーム作品で、架空の戦後日本を舞台にしたハードボイルドアクション。今回はseason1の舞台化である。
まずは2012年から始まる。香港デイリー日本支社唯一の日本人、林原樹里(滑川恭子)は日本人同胞会『春風』名誉総裁にして、日本人マフィア『プリマヴェーラ』の初代マダム、ジャンヌ・天川(八隅早苗)に呼ばれ、彼女からある話を聞かされた。それはプリマヴェーラの本当の初代マダムの葬られた物語であった。マダムはゆっくりと口を開く。「まずは、あの伝説の男が現れたところから話すべきかしら。 彼がローズと出会わなければ、何も生まれないのだから…。」
時代は遡って1944年、日本にとっての第二次大戦は、唐突に終わりを告げた。列島全規模の大災害により、日本は壊滅状態に。米中連合軍は人道的見地から無条件休戦を提案。日本政府はこれを受託したのだった。壊滅状態の日本を復興するため、米中連合軍は共に進駐。将来、日本を新たな米中戦争の火種にしないため、南北2分割ではなく、市政レベルで細かなチェス模様のように複雑に2分割。両国はそれぞれの国威を示すため、競い合うように急速な戦後復興を行った結果、ほんの数年足らずで、日本は荒廃から立ち直ることに。しかし、中国軍管区はチャイナタウン化し、米軍管轄もアメリカナイズドされ、その姿はかつての日本のそれとは大きく掛け離れていた。米中からの大量の移民により、日本はマイノリティー化。故国を失った日本人たちは、日本という名の新しき異郷で生きることを強要された。日本人は、今や亡国の民。しかしそれでも。身を寄せ合い、彼らは狡猾に、そしてたくましく生き抜いていた……。
ローズ・灰原(茜屋日海夏)はレオ・獅子神(鮎川 太陽)に出会う。ローズはクラブ『プリマヴェーラ』のマダム。優しい性格でおっとりとした雰囲気、人を疑うことを知らない。暴漢に襲われたローズを助けたレオは『プリマヴェーラ』の用心棒となる。そこにはウェイン・上寺(石渡真修)、リチャード・舞扇(伊藤マサミ)らがいた……。
とにかくアクションシーンが多く、縦横無尽に駆け回る。舞台に鉄骨だけで作られたセットが2つあるが、これが様々に変化する。ラスト近くのバトルのシーンでは、これをフル活用して立体感のあるシーンになっていた。
一見軽いようでいて義理堅いレオ、鮎川 太陽のアクションがかっこよくキマる。ローズ演じる茜屋日海夏は最初はふんわりと優しい雰囲気だが、ラスト近く、銃を片手に立ち上がるところは凛々しく、アクションも健闘。どっしりとした男気のある敬礼寺宗平(伊阪達也)、危険な雰囲気を醸し出すミゲル・倉敷(井深克彦)等、全員に見せ場があり、「ROSE GUNS DAY」の世界観を体現、1幕もので上演時間はおよそ3時間の長丁場。ラストで【プリマヴェーラ・ファミリー】という言葉が出たが、描かれているのは友情や絆。タイトルロールの出し方等、全くのアナログ、あくまでも“人力”表現で突っ走る。俳優陣やスタッフの熱量を感じる作品であった。
【公演データ】
進戯団夢命クラシックス×07th Expansion vol.2
「ROSE GUNS DAYS-season1-」
2016年9月21日(水)~25日(日)
俳優座劇場
原作:竜騎士07
脚本・演出:伊藤マサミ
出演:
レオ・獅子神 :鮎川 太陽
ローズ・灰原 :茜屋日海夏(i☆Ris)
ウェイン・上寺 :石渡真修
リチャード・舞扇 :伊藤マサミ
アマンダ・雨宮 :伊藤えみ
ステラ・舞扇 :舞原鈴
サイラス・斎村 :鎌田秀勝
メリル・田無 :和地つかさ
クローディア・黒崎 :かおりかりん
モーリス・物部 :芹澤良
フィリップ・バトラー:豊田幸樹
アルフレッド・赤城 :樋口夢祈
李 梅九 :萩尾圭志
林原樹里 :滑川恭子
マダム・ジャンヌ :八隅早苗
敬礼寺宗平 :伊阪達也
ミゲル・倉敷 :井深克彦
アンサンブル: あきひろ、大久保宇将、小倉江梨花、神代よしき、妃ひな、久保歩、窪田ゆうり、高島大 輝、橋本浩人、林希美、林田寛之、船橋拓幹、松田智晃、望月祐治、山田せいら
http://shingidan.web.fc2.com/rgd/rgd.html
http://07th-expansion.net/rose/Main.htm
©竜騎士07/07th Expansion
取材・文/高浩美