<あらすじ>
嵐の夜。
来栖現実(リアル)が、8 年ぶりに実家に帰ってきた。
大女優・来栖小梅を母にもつリアルは、高校卒業と同時に実家を飛び出し、それっきり帰っていなかったのだ。
息子の突然の帰省に驚く小梅。
リアルの目的は新米プロデューサーとして、25 年前に上演された幻の舞台「郭公(かっこう)」の主演を小梅に引き受けてもらうこと。
「郭公」は小梅を一躍スターダムに押し上げた名作。
再演すれば絶対に話題になる、と小梅を説得するリアルだが、小梅は頑なに首を縦に振ろうとはしない。
なんとしてでも「郭公」を上演したいリアルと、なにがなんでも「郭公」に出演したくない小梅。
嵐が強まると共に、息子と母の諍いは激しさを増してゆく……。
「郭公」に隠された母子の謎を紐解くうちに、露わになっていく二人の想い。
長い時を経てようやく向き合った母子とともに、嵐の夜は更けていく――