【オフィシャルレポート】二人芝居「息子の証明」本日開幕!

2021 年 8 月 25 日(水)銀座・博品館劇場にて、二人芝居「息子の証明」が開幕しました。
今作は、タカハ劇団の主宰で、舞台「魔法使いの嫁」(脚本・演出)、テレビ「ここは今から倫理です。」(脚本)等を手掛ける“高羽 彩”が脚色・演出し、テレビ「科捜研の女」(脚本)、映画「魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー」(脚本)等の“下 亜友美”が脚本をつとめる演劇作品となります。
出演は、ミュージカル「17 AGAIN」スタン役やミュージカル「刀剣乱舞」和泉守兼定役など、様々な作品で印象を残す“有澤樟太郎”とドラマ・舞台、数々の作品で存在感を放つ演技派女優“山下容莉枝”の二人。二人は今作で母子を演じ、濃厚な会話劇、二人芝居に挑みます。

舞台は、あちこちに段ボールが置かれた応接間。両階段が続く二階の中央には立派な肖像画が飾られている。
そこへ雨に濡れて入ってきたのは、来栖現実(有澤樟太郎)。新米プロデューサーの彼は、大女優の母・来栖小梅(山下容莉枝)に舞台の出演依頼をするため、8年ぶりに実家へ帰ってきたのだった。
親子は久々の対面を果たすが、繊細な性格の息子・現実と豪快でマイペースな母親・小梅の掛け合いは言い争いになるばかり。その上、オファーの内容が小梅の出世作『郭公(かっこう)』の再演であったことで、ふたりの長年抱えていた想いが露呈していくことに……。

“家族”だからこそ言えないこと、こじれがちな距離感を役者ふたりが絶妙に表現。台詞の面白さとテンポを活かしつつ、人物像にしっかりと血を通わせている。
有澤はスーツの映える長身で絶えず動き回る姿と、拗ねたような表情に愛嬌がある。時に母・小梅へのぎこちなさを等身大に、時に現実自身の理論を捲し立てるように熱演し、今作で広げた演技の幅を披露してみせた。山下は部屋着姿でありながら、一目で小梅が女優業だとわかる身のこなし。明るく芯の通った包容力で有澤のエネルギーと役の葛藤を受け止め、母親の愛情深さを示した。

グサリと抉られるような親子の本音も飛び出すが、全体に流れるユーモアと軽快さが優しい後味を残す。
何気ない台詞が効いてくるクライマックスの展開まで目が離せない。
人は時に “つながり”を確かめずにはいられない。だが気持ちをぶつけ合うからこそ、互いの想いを感じ取ることができる。“つながり”を感じづらい今だからこそ、多くの人に届いて欲しい作品だ。

囲み取材コメント

◆来栖現実(リアル)役 有澤樟太郎
初日を目前に控えた今、ひと言で言うと緊張しています。二人芝居は僕にとって初めての経験で、オリジナル作品を一から作っていく大変さを痛感しました。今まで経験したことのないような追い詰められ方をしたりもしましたが(笑)、その度に山下さんのふとした優しさに救われ、高羽さんと現場のスタッフの方にも助けていただきました。山下さんと二人で高羽さんにみっちり稽古していただいたので、その成果が出ればいいなと思いますし、とにかく自信を持って二人の空間を楽しみながらお芝居できたらと思っています。
この厳しい状況の中で、ご来場くださる方の「楽しみにしています」という言葉や想いがとても励みになっていました。こうして無事に初日を迎えられることを本当にうれしく思います。“家族”や“つながり”のお話は誰しもに通じるお話だと思いますので、作品のテーマをしっかり届けられたらいいなと思っております。劇場に来るのが難しいお客様もいらっしゃると思いますが、多くの方々に是非お届けしたいテーマですので、たくさんの方にご覧いただきたいです。最後までどうぞよろしくお願い致します。

◆来栖小梅 役 山下容莉枝
有澤くんと同様に私も緊張しております。いっぱいいっぱいです(笑)。私の頭と体の容量を越えたお芝居ですので不安もいっぱいですが、とても良いストーリーで面白く見応えのあるお話だと思います。ご覧になるお客様にもそれをお伝えできればという想い一つで、有澤くんと手を携えて最後まで駆け抜けたいと思っております。
このお話は、一つひとつ散らばっているパズルのようなものが進むにつれて少しずつハマっていき、あるカタチを成していきます。それが成した時に「さて、私たちはどういう選択をするのか?」が一番の山場であり、見応えになると思います。皆様にも思うところのある展開だと思いますので、楽しみにご覧いただければ。何かが心の中に引っかかって、それをお持ち帰りいただけましたら、それに越したことはございません。

◆脚色・演出:高羽彩
私も緊張しております(笑)。このご時世の中で興行を催すことは、舞台上の我々にも、ご来場くださる皆様にも、それを行う意味などを考えざるを得ないものであるかと思います。そのような状況でも劇場でお芝居を観ることを選択してくださった方、配信でご視聴くださる方、この作品のことを少しでも気にかけてくださる方、全ての方に感謝を申し上げます。そして初日を迎えられることを有り難く、幸福なことに思います。
見どころは、役者二人の逃げ場のないお芝居。いわゆる一幕モノで転換がない舞台空間の中、二人が作り上げる空気感が何よりの御馳走になるのではないかと思います。
有澤さんは“打てば響く役者・有澤”という二つ名が稽古場で付いたくらい、ちょっとしたひと言をかけるだけで「それが欲しかった!」という台詞がポーンと出てくるようになる方。非常に瞬発力と読解力のある役者さんだと思いました。さらに素直な方なので、真っ直ぐに芝居作りに取り組んでくださった。稽古期間中にも蕾が花開くような瞬間をたくさん見せてくださったので、今まさに花開こうとしている、この瞬間にしかない有澤さんの姿も見どころになるのではないかと思います。
山下さんはとてもポジティブな空気をお持ちです。真面目な方で休憩中も台本を手放さず、私ともディスカッションの時間を度々持ったのですが、決してカリカリすることなく。「このお話とても面白いよね、良くなるよね」と常に前向きな姿勢で居てくださり、山下さんの華やかなポジティブさに若輩者の私も助けていただきました。山下さんのお芝居が有澤さんをグッと引っ張ってくださった時もあって、なんと頼もしい先輩だろうかと勉強もさせていただきました。
おふたりの空気感があって、健全な創作現場で作り上げることができた作品です。

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Rie Koike